元マッキンゼーマネージャーが語る「医療ビッグデータで辿れる患者さんの15年」と「社会に貢献できている実感」とは

創業期から20年近くにわたって「医療ビッグデータ」が持つ可能性を追求し続けてきたJMDC。近年はこれまで蓄積してきたデータやナレッジといった資産を活用し、事業領域を拡張するような挑戦にも取り組んでいます。

製薬企業のお客様に対して行っている「データを用いたコンサルティング事業」もその1つ。今まで以上にリアルワールドデータを事業に活用いただくべく、さまざまなアプローチから製薬企業に伴走しています。今回はコンサルティング部でチームリーダーを務める野本さんに、今チャレンジしていることや事業のやりがいを聞きました。

<プロフィール>
野本 有香(のもと ゆか)株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 プリンシパル
大阪大学人間科学部卒業後、マッキンゼーアンドカンパニーに入社。製薬を中心に幅広い業界のトップ企業に対して全社戦略策定や組織変革などのコンサルティングを提供。同社でエンゲージメント・マネジャーを経験したのち、2021年4月にJMDC入社。製薬企業に対するデータを用いた課題解決に日々取り組む。

やりがいを感じる瞬間は社会に貢献できていると実感を得られるとき

ーー野本さんは戦略コンサルティングファームのご出身ですよね。JMDCへの入社を決めたきっかけは何だったのでしょう?

もともと就職活動をしていた当時は特定の業界へのこだわりなどもなかったので、マッキンゼーにはモラトリアム的に入社したんです。特段、自分の専門領域を限定せずに経験を積める期間を作りたいなと考えていました。

実際に5年間の在籍期間の中では業界やファンクションを超えて、さまざまな経験をしました。業務内容は戦略策定から組織構築の支援まで多岐に渡り、携わった領域も物流や化粧品、自動車を始め幅広いです。実は最初に担当したのが製薬会社のプロジェクトで、今振り返るとそれがキーになっているかもしれません。

というのも、いくつもプロジェクトを重ねていくうちに、自分の中で「社会に貢献できていると実感を得られる時」こそが最もやりがいを感じる瞬間だと気づきました。

特にヘルスケアは自分自身の仕事が「人々の健康にもつながっている」という感覚があり、他の業界と比べてもやりがいを感じることが多くて。次第にヘルスケアの会社で、人々を健康にしていくような仕事をもっとやっていきたいと考えるようになったんです。

ちょうど当時はマネージャーだったので、それ以上マッキンゼーに在籍する場合はパートナーを目指すことになるような状況でした。その修行に時間を費やすよりは、自分がやりたいと思ったヘルスケアの領域で挑戦してみたい。そんな考えから新しい環境に身を置くことを決めました。

いくつかの選択肢の中からJMDCに興味を持ったのは、データ×ヘルスケアの領域がこれから伸びていきそうだと考えたことが大きいです。

実際にマッキンゼーでヘルスケア関連のプロジェクトを担当していた際にも、毎回のように「データ」や「リアルワールドデータ」に関する話題が出ていました。私自身は文系の出身で医学や薬学の専門知識があるわけではなかったものの、データ分析はある程度コンサル時代に経験していたこともあり、この領域で挑戦してみたいなと。

その点、JMDCはヘルスビッグデータの保持量が日本でも1番で、自分がやりたいことにも合致していました。会社の規模感もちょうどよくて、あまりにもベンチャーすぎて環境が整っていないわけでもなく、反対に大企業すぎて身動きが取れないわけでもない。新しい事業を進めやすい環境で、面接などを通じて出会った人が良い人ばかりだったこともあり入社を決めました。

データを用いて、より効率的に人々に健康を届ける

ーー野本さんが現在特に注力している業務について教えてください

製薬企業に向けた、データを活用したコンサルティングです。私自身はこの仕事を「データを用いて、より効率的に人々に健康を届けること」だと認識しています。

直接的なお客様は製薬会社になるので、データを使って製薬会社が効率的に患者さんへ健康を届けられるようにサポートしていく。それを通じて間接的に、患者さんへ健康を届ける役割だと考えています。

近年は製薬会社においてもメディカルアフェアーズやファーマコビジランスなどでリアルワールドデータが使われ始めている一方で、コマーシャル領域や開発領域のようにまだまだデータの活用が進んでいない領域も残されています。

たとえば希少疾患やオンコロジー領域(腫瘍学)での開発に力を入れている企業も増えているのですが、希少疾患はそもそも知見のあるお医者さんが少なく、患者さんが病院に行ってもなかなか診断がつかないということがあるんです。

結果的に何件も病院を回ってみたものの適切な診断がつかないまま症状が進行してしまい、気づいたら手遅れになってしまう。そんなことが起こりうるのが実情です。

そもそも製薬会社は患者さんの実態を把握するのに相当苦労されています。

病気の診断がつくまでにどれくらいの時間がかかっているのか、何施設ほど渡り歩いた後にようやく診断がついているのか、どのような診療科にかかっているのか、その後の治療経過はどうなっているのかーー。

私が携わったプロジェクトでも、製薬会社の方から「(希少疾患に関して)ペイシェントジャーニーが全くわからなくて困っているからサポートして欲しい」という要望が届きました。そこがわからないから「製薬会社としてどのように患者さんを救うことに取り組んでいるのかがわからない」と。

そのようなシーンでリアルワールドデータを基に1人1人の患者さんのペイシェントジャーニーを分析していくと、今までは見えづらかった課題や解決策が見えてくるんです。

たとえば「特定のセグメントの診療科に行った患者さんはなかなか診断がつかない」という傾向が掴めれば、該当する診療科に向けてアプローチしてみるべきではないかという具体的な打開策を提案できます。レセプトデータを大量に追っていくと、子供の患者さんと大人の患者さんでそれぞれ別の傾向と課題があるといったようにパターン化をしていくことも可能です。

リアルワールドデータは必ずしもとっつきやすいものではないので、そのようなことを製薬会社が独自でやろうと思っても負担が大きい。だからこそ私たちが価値を提供できる部分も大きいと考えています。

JMDCには深堀りがいのあるデータが眠っている

ーー「データをどのように使っていくべきか」というところから、かなり伴走されているんですね。

たとえば一口に「レセプトデータ」と言っても3種類のレセプトデータがあるので、分析したい疾患や内容に応じて適切なデータベースが変わってくるんですね。お客様がデータに詳しければ要望のデータを提供するという場合もありますが、中にはデータに慣れていない方もいらっしゃるので、一気通貫でサポートをしています。

データを購入いただいている企業の中でも「コマーシャル領域の方々はデータを購入していることすら知らなかった」といったように部署ごとでも状況が異なるんです。

今までは膨大な予算と労力をかけて少数の患者さんを見つけ、インタビューやアンケートを実施していたような場合でも、実はデータを活用することでもっと早く課題を発見し、解決策を患者さんに届けられるかもしれない。もっとうまく、効率的にやれる方法があるのであれば、それを選ばないのは製薬企業の方々にとっても機会損失ですよね。

▲製薬会社向けのDX支援内容(一例)

ーーそのように製薬企業に伴走していく中で、野本さんが最初にお話されていた「社会に貢献できている実感」を得られることはありますか?

そこはすごく感じます。特に実際にデータを見ている中で、その実感を得られたことが去年ありました。

小児の希少疾患に関わるものだったのですが、生後数ヶ月で何度も入院や手術を経験して、薬も大量に飲んでいたような患者さんが「10年間にわたってどのような経過をたどっていったのか」といったこともデータで見ていくことができるんです。

同じ疾患の患者さんでも、10歳になっても毎月病院に通っている人もいれば、あるタイミングから半年に一度だけ検診に行っているような人もいる。後者の患者さんは、データを見る限りではおそらく元気になって、普通に生活できるようになっているのだろうということがわかります。

このような人を少しでも増やすためにも、自分たちがデータを活用して課題を解決していかなければならないとすごく思いました。

個人的には、重病の患者さんのデータを見ると実際にどのような生活をさせているのかが気になって、SNSなどで疾患名を検索してみたりすることがよくあるんです。その際に親御さんが大変な思いを投稿されているのを目にすると、JMDCで取り組んでいることはご家族の方を助ける上でも絶対に役に立てるはずと感じます。

ーーJMDCのデータを活用するからこそできることもあるのでしょうか?

本当にかなりの精度で患者さんの履歴を追っていけるんです。個人を識別することや個人情報を復元することができないように厳密に匿名加工しているので、どこの地域にいる誰かはわからないけれど、健保からいただいているデータは病院がどれだけ移り変わったとしても、患者さんの状況を把握することができる。JMDCは規模的にも1番大きなデータベースを要しているので、それは自分たちならではだと思います。

たとえばコンサルティングファームなどは自社でデータを持っていないので、外部のベンダーから購入する必要があるんですね。そうなると何度もデータを買い足すという判断が難しく、すでにあるものの中で何かをしないといけないことも多いです。

でもJMDCの場合はデータが社内にあるので、さまざまなデータを探索的に深掘りしていけます。しかもデータの種類は増えていくので、時間が経つほどやれることはどんどん広がっていく。だから飽きることがないです。

データを整備するシステムもすごいですし、そのプロセスを担ってくれる人たちが社内にいるからこそできることなので、その環境は本当にありがたいなと思います。

「データを売ること」だけが自分たちの提供価値ではない

ーー野本さんが在籍しているコンサルティング部は2年前に発足したんですよね。製薬企業の方々からもそこに対する需要が高まっているのでしょうか?

現在、コンサルティング部は3つのチームがあって、全体で20人前後の組織です。私のチームは6人ですがコンサル出身者は自分だけで、営業出身の人も多く、新卒のメンバーもいます。

2年前は私自身もまだ入社していなかったので、当時のことはわからない部分もありますが、お客様からのニーズが高まってきていると思います。

「データに触れるのが初めてなんです」という方に、いきなり「どのようなデータを集計したいですか?」と聞いても戸惑ってしまいますよね。JMDCでは分析用のツールを提供していたりもしますが、それもある程度は用語を知っていないと使いこなすのが難しく、必ずしも全ての方にとってとっつきやすいものではありません。

プロジェクトを進める中でお客様に学んでいただくこともありますが、基本的には自分たちが手となり足となり、サポートしていく方がお互いにとって効率的です。

最初にお伝えした通り、自分の中では「リアルワールドデータを使って、効率的に人々に健康を届ける」ことが役割だと思っています。だからそのためにできることがあるのであれば、なんでもやるという考えです。

たとえば「データ利活用のケイパビリティ構築のコンサルティング」も製薬企業からは一定の需要があります。組織横断でレセプトデータの分析をしたい、それによってナレッジシェアを高めたいといったように「データへの理解度を社内で向上させる」ための取り組みです。実際に私自身も、昨年はお客様の社長や経営陣を巻き込んで組織横断でワークショップを実施しました。

また「データをどのように使うか」をお客様と一緒に考える仕事もあれば、グループ会社のアセットを使って製薬企業に対して「一緒に新しいサービスを作りませんか」と提案することもあります。

マルチタスクにはなりやすいですが、やれることの幅は広いです。

ーー入社を決めた理由の1つに、新しいことに挑戦する上でも「ちょうど良い規模感」だったというお話がありました。実際にこの1年間ではいろいろな挑戦ができましたか?

めちゃくちゃやっています。今年はコンサルティング部でチームを率いるようになったので、昨年に比べるとそこにより多くの時間を使うようにはなっているのですが、去年は新しいことばかりやっていました。

たとえば新しい種類のデータの開発だったり、既存のレセプトデータ×機械学習や既存のレセプトデータ×グループ会社のアセットという切り口で何ができるかを考えたり。そのような粒度のテーマを年間に数件自分がリードしているような状況で、それぞれの案をお客様にぶつけてみて、反応が良い企業とどんどんPoCを進めるようなことをしていました。

規模感もそうですが、もともとそのような組織風土が根付いていると思います。新しいことを始めるにあたってその都度、稟議を取るようなこともないですし、反対にやってみて上手くいかなければいつまでもこだわるのではなく、辞める決断をする。

だから多くの人がイメージするであろう「コンサル」的な仕事だけをしている感覚はなくて、新しいデータの使い方を考えることもあれば、コンサルに近いことをやることもある。自分の役割を「効率的に健康を届ける」という表現をしている理由もそのためです。

ーー今後はどのようなことに挑戦していきたいですか?

いくつかありますが個人としては「データを使った臨床試験の効率化」ですね。去年は製薬企業の中のコマーシャル部門の方々と関わることが多かったので、今後は開発部門向けのサービスでも役に立ちたいです。

製薬業界全体としても開発領域はコストが膨れ上がってきていて、大きな課題とされています。そのプロセスを効率化することができれば、結果として患者さんに早く薬が届けられるようにもなる。社会貢献の要素も大きいので、絶対に挑戦したいと思っています。

チームとしては自分たちの提供できる価値が「データを売ることだけではない」ということをもっと当たり前にしていきたいですね。お客様が考えていないような領域でも、データを使うことで新たな価値を生み出すことができるので、それをチームとして取り組んでいけるようにしたいです。

▲医療ビッグデータのポテンシャル

ーー臨床試験の効率化は野本さんが大事にされている「社会に貢献できていることを実感できるか」にも直接的に関わってきそうですね

遅延している治験の方が多いと言われるくらい、製薬会社はそこに悩まれているんです。特に希少疾患は条件に合致した人を探すのが大変で、思うように集まらない。そのため開発期間がどんどん長くなり、それだけコストもかかります。

データを使って「このような患者さんはここにいる」ということを効率よく示していくことで、開発期間の短縮に貢献できると良いなと考えています。そのためにはレセプトデータだけでなく、複数のデータを組み合わせる必要があるので、簡単なことではありませんが。

世の中にはまだ薬が存在しない病気があって、ただただ待つしかない状況の人もいる。JMDCなら、そういった方々により早く薬を届ける手伝いも絶対にできるはずだと考えています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
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