医療ビッグデータを活かした事業を幅広く展開しているJMDCには、魅力的な経歴や豊富な経験を持ったメンバーが所属しています。今回は、コンサルティングファーム出身で、現在はJMDCの製薬本部で活躍する早川さんにインタビューを実施。JMDCに入社してから、ちょっとしたことを積み重ねて「変化」を起こしてきたという早川さん。「変化」をキーワードに、JMDCで働く魅力を聞きました。
<プロフィール>
早川 叶(はやかわ かなえ)株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 コンサルタント
東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野にて修士号を取得。新卒でファイザーに入社し主にプライマリ領域の営業に従事した後、ボストンコンサルティンググループに入社。過去の経験を生かして医療機関や製薬会社向けの経営改善・組織改革のコンサルティングを提供。営業・コンサルティングという2つの業種でヘルスケア業界の様々な方と働く中、「既存の形に捉われない新しいヘルスケアの在り方を見出したい」と想い、2021年よりJMDCに参画。
新しく始める、そして変える――JMDCの基本であり魅力
――まずは早川さんのこれまでのキャリアと、現在どういった業務に携わられているのか教えてください。
私は学生時代から一貫して、医療とヘルスケアの領域にいます。大学・大学院時代は薬学部・医学研究科で学び、新卒では製薬企業に入社しました。その後コンサルティングファームに転職し製薬企業や医療機関を対象とした経営改善・組織改革のコンサルティングに従事しました。
ビジネス全般のベースとなるスキルは身につけられたので、一貫して追求してきたヘルスケア領域でより活躍するために、もう一つスキル面での専門性や強みを持ちたいという思いでJMDCに転職しました。「データテクノロジー」「ファイナンス」など専門的な強みがあった方が自分がヘルスケア領域でやるべきことを明確にできると思ったんです。
今はJMDCの製薬本部に所属しています。この部門で私はJMDCが持つリアルワールドデータを活用し、さらなる付加価値を与える新サービスの企画開発、推進を行っています。
※リアルワールドデータ:医療の臨床現場で得られる医療データのこと。レセプトデータ、健診データなどが含まれる。ウェアラブルからのヘルスデータも含むことも。JMDCでは、創業時からレセプトを健康保険組合から収集し、国内最大規模の累積1400万人分のレセプトデータを保有している。
――実際にJMDCで働いてみて、魅力的に感じている点はなんでしょうか。
二つのキーワードがあります。一つは、「新しく始められる」こと。もう一つは「変えられる」ことです。
「新しく始められる」とは、従来のやり方にとらわれずにさまざまな提言ができること。前職のコンサルティングファームでは既に業界を牽引しているクライアントに対し、その業界を更に引っ張っていくための支援をすることが主な役割でした。今は医療ビッグデータのリーディングカンパニーとして、リアルワールドデータという新しい価値を浸透させ根づかせるところから関われることに魅力を感じています。
そして「変えられる」とは、世の中の状況に応じてビジネスを変化させていけること。リアルワールドデータが浸透すると、それに対応できる法的規制が必要になりますし、治療法自体が発展すれば、リアルワールドデータの活用もより最適なあり方を考える必要が出てきます。そういった業界の移り変わりの波に自ら乗って、ビジネスをアップデートしていく役割は挑戦し甲斐がありますね。
――その他に、組織や文化の部分で魅力的に感じた点はありますか。
キーワードとしては先述と同様で、新しいことを始められる、変えられるところが組織としてもよいところです。
例えば、私が今いる「コンサルティング部」も、単にデータを集計して提供するだけでなく、もう一歩踏み込んだ価値提供を目指すために設立された背景があります。このように、どうすればこのデータが人々の役に立つのかといった観点で、組織をどんどん変えていっている点はJMDCの魅力だと感じます。
早川さんが事業と組織で「新しく始めた」こと
――ここから、実際に早川さんがJMDCで新しく始めたことや、起こしてきた変化について具体的にうかがえればと思います。
私がビジネスにおいて「新しく始めたこと」として、食品会社や化粧品会社といったヘルスケア参入企業へのアプローチがあります。
私は製薬本部として、ヘルスケアの裾野を広げたい気持ちがありました。過去数十年間、ヘルスケアの中心には薬がありましたが、現在は薬以外の力でヘルスケアを変えようとしている企業も多くあります。その時に、製薬会社さんが過去数十年間の歴史の中でどうやって医療を成長させてきたのか、私たち製薬本部の立場から新規参入の会社にお伝えしていけたらと思っています。ということで昨年度から、製薬本部の中で、食品業界や化粧品業界をテーマに支援する企業を開拓しています。
――食品業界や化粧品業界向けに、具体的にはどのようなサービス支援を提案されているのでしょうか。
例えば、「医療行為のレセプトデータ」に「患者さんの主観的な情報」を掛け合わせることで、医療機関以外で商品・サービスを提供する食品業界や化粧品業界の方々のお役に立てるようなコンサルティングサービスの提案をしています。
JMDCのレセプトデータでは医療行為のヒストリーを施設を超えて長期間捉えることができます。この特徴は静かに身体を蝕んでいく生活習慣病や中々正しい診断に辿り着けない希少疾患などの実態把握にお役立ていただいているのですが、それに医師インタビューや患者さんへのアンケートなどのデータを掛け合わせることで食品業界や化粧品業界へも展開出来ないかと考えたのです。
この2つの情報を掛け合わせたヒストリーを見ると、例えば、「食品に対しての意識が高まっている背景には、医療機関での●●という治療が影響していそう」「医療機関で●●と診断されると、化粧品も自分にあったものを使いたいというニーズが高まりそう」といった仮説を立てることが出来ます。これらの仮説は食品業界や化粧品業界が人々の健康に寄与するためのヒントになりますので、これらの分析結果を踏まえてマーケティング戦略策定の支援などを提案することが多いですね。
――早川さん自身が、製薬本部の中で「こういった業界を開拓していきたい」と組織に提案されたんですか。
そうですね。私は採用面接の段階から「新しいヘルスケアの追求」をテーマに掲げていました。製薬会社さんが持つ素晴らしい医療やヘルスケアへの考えを一般の人にも浸透させたい。薬が疾患になったときに飲むものなら、その手前で、毎日食べている食品や使っている化粧品の中で健康について意識できないかなと。そういった課題を日ごろから部門長とディスカッションしていたので、昨年の下半期にチーム全体のミーティングで提案したらその場でスムーズに「やってみよう」という流れになりました。JMDCにはそれだけフットワーク軽くまずはやってみようという環境があるので提言しやすいです。
早川さんが事業と組織で「変えた」こと
――もう一つの魅力である「変えられる」については何か取り組まれたことはありますか?
社内の話にはなってしまいますが、昨年度パワーポイントのフォーマットを刷新するプロジェクトを行いました。
前職のコンサルティングファームだとパワーポイントがビジネスの武器にもなるので、パワーポイントは専任組織によって常にアップデートされていました。そのお陰で私たちコンサルタントはいつも効率的にきれいなパワーポイント資料を作ることが出来ていたのですが、その時の経験をJMDCでも活かせないかなと。そんな課題を感じていたコンサルティング出身の同僚と共に会社に提起し、多くの方の協力を経てこのプロジェクトが発足しました。
――提案するだけでも企業によってはハードルが高いことですが、JMDCでは社員が気軽に提案できる環境なのですね。早川さんが組織に対して「これを提案してみよう」と思える背景にはどういったことがあるんでしょうか。
そうですね、私自身コンサルタント時代に組織改革のプロジェクトに多く携わったので、JMDCに対しても組織がより良くなったらいいなという気持ちが人より少し強いかもしれません。
加えて、JMDCには私含め中途入社でさまざまなバックグラウンドを持った社員がいます。その中で自分達が前の会社で良かったなと思っていることを伝えられて、具体的に組織の改善策に結び付き変化を起こしていけるのは、社員が気軽に提案できる理由でありJMDCの良いところかなと思います。
例えば私の同僚が、社長とフランクに話すランチミーティングの場で気になっていることについて「前職ではこんな良い制度があった」と話をしたら、その数日後ぐらいに制度が変わっていた、といったこともありました。良くしたいという思いで発言をすれば、会社はちゃんと考えて動いてくれますし、その文化を組織が大きくなっても維持しようという姿勢があるのはJMDCの良いところだと思います。
――JMDCが持っている事業や人材の多様性にコンサルティングファーム出身の方が加わることで、うまく掛け算して何倍にもしていくような広がりが生まれるのかなと思いました。実際に早川さんが、多様な社員の方と掛け算で何か生み出された経験はありますか?
「WiDS TOKYO @ Yokohama City University 第4回シンポジウム」というイベントに出場し、データからストーリーをつむぐことの意味、醍醐味を語るために、SDGsを軸にしたアイデアをプレゼンテーションする機会がありました。その時は、製薬部門以外の社員とチームを組んでJMDCという会社全体が世の中に提供する価値について議論したんです。私だけではどうしても対製薬会社の視点になってしまいますが、この会社ではさまざまな軸で人の健康について考えている社員がいるため、コラボレーションすることで新たな発見も多かったです。その結果、最優秀賞をいただくことができました。
製薬会社が薬を届ける先には医師や薬剤師や患者さん、患者さんのご家族といった人たちがいて、それぞれ見方が違うと思います。JMDCではそのさまざまなステークホルダーとそれぞれ向きあっている社員がいるので、そういった人たちと話すことによって、新たな視点を取り入れながら働けるのは魅力的ですね。
私は、JMDCのミッション「健康で豊かな人生をすべての人に」がすごく好きで、誰でも自分事と思えるミッションだと思うんです。私は製薬本部の一員なので日頃は製薬会社の目線で人々の健康を考えていますが、隣で働く同僚の視点を借りれば、自分の健康や、自分の周りの大切な人の健康を考えることもできます。組織の中でさまざまな立場で働く人がみな立ち返れるミッションがあり、一つの方向に向かえるのはJMDCの大きな特徴かなと思います。
「ちょっとした変化」を起こし続けて見えたコアスキル
――ご自身の強みとなる、専門性の高いスキルがほしいという思いで転職されたということでしたが、そういったスキルアップにおいて変化はあったんでしょうか。
以前はたしかに強い専門スキルが欲しいと思っていたんですが、むしろコンサルタントとして地道にやってきた「本質を見抜いて解決策を提案する」力こそを自分のスキルの軸として捉えていいと思えるようになりました。これは、ここまでお話ししてきた、「自分のできるちょっとしたことを積み重ねていったら実は事業や組織が変わっていた」という体験が気づかせてくれました。
コンサルタントは地道な努力を積み重ねてその道の専門家と対等に議論する能力を持っています。一方で、コンサルタントである以上はアドバイザリーであって、専門家として実際に手を動かす人間にはなれない。それがコンプレックスでした。テクノロジーでもファイナンスでも、何か専門的な軸がないと、今後ヘルスケア業界の中で生きていけないのではと考えていました。
でも、元々コンサルタントとして培ってきた経験を持って、事業会社で働いてみると、その経験自体がスキル軸になるのかもしれないと最近思うようになりました。今は、コツコツ泥臭く、その中でしっかり本質を見抜いて課題を解決していくことが、自分にとってのスキルの軸かなと思っています。
――最後に、これから早川さんが取り組んでいきたいことなど、今後の展望をお聞かせください。
こうなったらいいなと考えていることは二つあります。
一つは健康を考える人の輪を広げる役割を担うこと。私は今、製薬企業とのプロジェクトを通して、製薬企業が人々の健康のために行っている沢山の取り組みを知れる環境にいます。その良い取組をたくさん吸い上げ、周囲にいる様々なヘルスケア企業や患者さんにしっかり波及させて、1人でも多くの人が健康を自然と意識する世界観を作っていきたいです。それはまさに先ほどお話ししたように、さまざまな角度から健康を考えている人が集まるJMDCに所属するからこそ、実現できる可能性は非常に高いと考えています。
二つ目は、「組織作り」を今後のスキル軸の強みの一つにしていきたいです。「できるちょっとしたことを積み重ねる」ことが自分のスキルの一つの軸になることに気付いたとお話ししましたが、それを特に「組織作り」において追求していきたいと考えています。というのも、前職のコンサルティングファームは採用や育成も自分事としてビジネス部門のコンサルタント全員が常に考えていました。それが私はすごく心地良かったんです。最近では事業会社にもHRBPが導入されて、人材をビジネス側で考えることの重要性が高まっています。
そして私はJMDCのビジネスが好きで、この組織が成長すれば我々のミッションである「健康で豊かな人生をすべての人に」は必ず実現できると確信しています。
なので、私はビジネスの立場でありながらも、どういう人材が必要か、どういう組織であるべきか、を意識しながら働いていきたいです。CHROという新しい概念も出てきているので、そういったビジネスと組織の両輪を担うようなポジションも、ゆくゆくは挑戦していきたいと思っています。
――コンサルティングファーム時代にクライアントに対してやられてきた組織改革を、自分の会社でできる面白さがありそうですね。
やっぱり手元で組織が良くなっていることを感じられるのはうれしいですし、もっと良くしていきたいという気持ちがすごく強い。それはおそらく、前職時代に組織改革のプロジェクトをたくさんさせてもらったからだと思います。今後はJMDCをより良くするために、組織×ヘルスケアの掛け算で頑張りたいなと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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