6週間で1プロダクトを仮説検証する超高速な事業開発ができる環境とは

医療ビッグデータを活かした事業を幅広く展開しているJMDCは、多様なグループ会社を仲間に迎え、豊富なアセットを生かした事業開発に取り組んでいます。同社のPMI室で、グループ会社と共に事業開発を行う古田氏は、オーナーシップを持ってチャレンジできるJMDCの文化に惹かれて入社。イノベーティブな新規事業開発に取り組んできました。同氏に、JMDCにおける事業開発の面白さや環境の魅力をうかがいました。

 

<プロフィール>
古田 皓也(ふるた こうや)株式会社JMDC PMI室 マネージャー
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、株式会社クラウドワークスに入社。主にクラウドソーシングプラットフォーム事業を担当し、執行役員、事業責任者に従事。2020年にJMDCへと参画し、グループ会社の経営・事業支援を担当。その後、JMDCデジタルの立ち上げを行い、新規事業開発を担当。2022年に株式会社cotreeに参画。

 

経営哲学に惹かれて入社、新規事業開発の道へ

――まずは、古田さんのこれまでのキャリアを含めて自己紹介をお願いします。

大学までは漠然と海外への興味があって平和学のゼミに所属をしていたり、カンボジアでNGOの研修をしていたのですが、縁あって新卒でクラウドワークスに入社しました。そこでマーケティングやSEO、プロダクトマネジメントまで携わり、28歳で執行役員も経験をさせてもらいました。JMDCにジョインしたのは2020年12月です。

 

――JMDCの経営に惹かれてジョインされたんですね。

特に社長の松島さんや今の上長の三原さんの考え方がユニークで惹かれたんです。例えば、松島さんが「プロフェッショナルとは何か」という話です。プロフェッショナルという言葉の由来は「プロフェス」で、人々が神に対して告白・宣言すること。つまりまずは「宣言をする」ことが大事なんだと。実現できるかどうかにこだわらず、まずは目標を言葉にすることを評価する考え方なんですね。

また、グループ経営であることも魅力でした。一企業だけでは成し遂げきれないことも、複数の経営組織でカバーし合うことで全体でよい方向を目指していけるのではと考えました。

 

――実際に入社されてからは、どんな業務に携わったのでしょうか。

PMIという立場で、JMDCグループに加わった会社の経営や事業グロースに携わっています。そこから発展して、2021年の5月からは「JMDCデジタル」という新規事業開発の会社を設立し、そこでの事業開発も行っています。現在では、JMDCが開発・提供しているPHR(パーソナルスヘルスレコード)サービスの全体戦略や、子会社であるオンラインカウンセリングサービスcotreeの取締役として経営にも携わっています。

 

――業界も異なりますし、PMIとして初めは苦労も多かったのではないですか?

それがあまりなくて。グループ会社も医療やデータに長く携わっている会社が多いので、特定方向への視点が強いと感じます。それに対して自分はよく知らないからこそ見える観点や提案できるアイデアがあるので、むしろプラスに働いたと思います。こういった物事の認知でバリューを出すという意味ではJMDC内にもコンサルティングファーム出身の強い方たちがたくさんいるので、どう差別化して価値を出していくかを考えました。

 

――なるほど。そこから新規事業開発のJMDCデジタルをスタートされるのは、どういった経緯だったのでしょうか。

PMIの仕事は主に3つの段階があって「認知」「判断」「実行」です。状況を認知して問題やポイントを明らかにして、そこから最も良い判断をして実行していく。中でも認知・判断の比重が大きくなるんですよね。でも僕は実行までやりたいタイプのようです。

例えば、複数のグループ会社に入って支援をしていると「こっちとこっちのアセットを組み合わせて何かできそうだ」と見えてくるんです。JMDCにはデータだけでなく、医師や看護師といった人材の専門性も高く、新規事業の可能性が豊富にある。でもそれを実行しようとすると、会社同士のコミュニケーションではなかなかスピード感が出ない。そこでJMDCグループ内のアセットを組み合わせ、すばやく試して形にしていくための組織として、JMDCデジタルを立ち上げました。

当時はサイバーエージェントやDeNAといったIT企業もヘルスケア業界に参入してきていたので、アジリティの重要性を感じていたことも背景にありました。

 

JMDCデジタルでの事業作りはスピードが命

――JMDCデジタルで、具体的にどんな事業を立ち上げられたのでしょうか。

仮説検証だけで言えば、数え切れないほどです。例えばオンライン診療サービスや、治験領域のサービスの仮説検証を行ってきました。その他には、医療機関向けの業務効率化サービスなどを開発してきました。

▲仮説検証した事業の一覧

――それらの事業開発は古田さんがオーナーシップを持って進めてこられたと思いますが、一つの事業をアイデアから形にするまでの流れを教えていただけますか。

サービスを企画してプロトタイプを作り仮説検証するといったサイクルを、6週間でやっていました。それまでのJMDC本体での事業開発は、ヘルスケア業界への深い知見を生かして、熟考して進めるスタイルでした。そこをあえてJMDCデジタルでは「よくわからないけど、ひとまずやる」方法をとりました。無駄が発生しながらも、いかに早くできるかを重視します。

流れとしては、まず課題を定義したら考えられるソリューションをいくつか挙げて、プロトタイプ、いわゆるMVP(Minimum Viable Product)を作ります。そのMVPをもって検証して、フィードバックを得る。ここまでが大体6週間です。6週間で得た学びを元に、市場に投入するかを判断していきます。

 

――6週間で1プロダクトはかなりスピード感がありますね。その速さでの仮説検証を実現できたのはなぜでしょうか。

JMDCの既存のオペレーションと切り離されていたことが一つ。業界に対する解像度が低いことで思考がシンプルになるからこそ、スピードに繋がったと思います。

もう一つの理由としては、企画から最後のオペレーションまで、すべてJMDCデジタルの中で内製で実行したことが大きかったです。プロトタイプは営業資料やWebサイト、広告バナー、アンケートなどで作ることが多いのですが、すべて自分たちで作成しました。僕自身、クラウドワークス時代からインハウスで「小さく素早く」やってきた経験が生かせたと思います。

 

――JMDCデジタルでの事業作りにおいて、古田さんが感じてきた面白さや得たものは何でしょうか。

医療業界は製薬なども含めて専門性が非常に高い業界なので、縦が深いんですよね。僕はその専門分野における深い知識は持っていないけれど、むしろ横断的に関わることによって別の観点を持ち込めることに意義を感じています。そこで自分のオリジナリティが出せるということは面白いですね。JMDC全体としても、専門性を深めるだけでなく横断的な視点も必要で、縦横の掛け合わせは意識をしています。そういった土俵の上にあるので、事業作りにおいても環境が整っていると感じます。

また、JMDCはデータという最強のアセットを基に事業を作ってきましたが、あえてそこに縛られない事業作りに挑戦できる点は、JMDCデジタルならではの面白さかもしれません。

 

▼JMDCのアセットについて語ったコンサルティング部の対談記事もございますので、ぜひご覧ください。

blog.jmdc.co.jp

 

――豊富なアセットを前に、スピード感をもって柔軟な発想で事業作りをできるのはとても魅力的です。その中でぶつかった課題などはありましたでしょうか。

とにかくスピードを追求する中で、業界特有の問題につまづいて上手く前進できないというのが、最初にぶつかった壁でした。当初、対象がN=1でもど真ん中のペインを捉えていれば、ボーリングのピンが倒れて行くようにじわりじわりとスケールさせることができると考えて、とにかくプロトタイプをアウトプットしていたんです。しかし実際には国の制度や、サービス受益者・利用者と支払者が異なる医療業界の特殊性が壁になり、これではスケールが難しいと感じることが多かった。

 

そこで次のステップとして、国の医療制度や他社の動向を見るようになりました。でもそこでも2つ目の壁に向き合うことになったんです。国や医療業界全体のマクロ環境から発想した課題では「熱量が低い」ということ。国が掲げている目標に対して、例えば医療機関が課題を特定するとなると、生まれるのは「できていないことリスト」になってしまうなと。そして、例えば医療者にとっては、熱量の方向性は目の前の患者さんのケアや治療であることが多いように感じます。なので「この業務をデジタル化したい」といった熱量は劣後する場合が多いのかなと。つまり、課題は理想と現状の差分に由来する。そして、国の動向や制度を理想とすると、出てくる課題はどこか「重要だけど、緊急性が低い」ものになってしまう。ここをどう打破するかが2つ目の課題でした。

考えた結果、僕たちが出した方針は「掲げた理想に共感してもらう」ことでした。自分たちがユーザーになりきって、課題を言語化する。それをもってユーザー共感を得ていく。フォード社を創業したヘンリー・フォード氏の有名な話で「顧客に聞いたら皆『足の速い馬がほしい』というだろうけど、車を作った」という話がありますが、同じことだと思います。

 

すると思考はとてもシンプルになりました。ユーザーになりきって、渇望するほどの理想を考える。渇望するほどの理想からは熱量の高い課題が出てくる。そして、それに対するソリューションを、形(プロトタイプ)をもって示します。それを実際に試してみて具体的にフィードバックを得て、改良していく。特に自分たちの場合は、結果的に今までになかったようなサービスを提案するので、「形をもって示す」ことが対ユーザーのコミュニケーションにおいて重要です。

 

JMDCでの事業開発で得られたこと

――PMIやJMDCデジタルなど多様な役割を担う中で、現在はどんなバランスで業務に携わっているのでしょうか。

僕は企業に勤める意味を「できないけどやりたいことにチャレンジさせてもらえる」点においています。もちろん、色んな前提条件はあれどお金をもらいながら、今自分はできないけどやりたいことにチャレンジさせてもらえるのが、会社のいいところであり、勤める意義だと思っていて。例えばあるプロジェクトでマッキンゼーやBCGなどで最前線で活躍していたコンサルタントの方と一緒に取り組む機会があります。その中で「こうやってやるんだ」という学びを得ています。PHRもさまざまなステークホルダーを巻き込んで、今までやってきたプロダクト作りとは別次元の難しさの中で挑戦させてもらっています。

 

――なるほど。自分の宣言を起点に、チャレンジできる環境は大きな魅力だと感じました。これまでのJMDCでの事業開発を通して、古田さんが得たことや学んだことについて伺えますか。

一つ目は、自分がビジョンを持つことの重要性ですね。先ほどお伝えした通り、重要なのは「ユーザーの課題に対する熱量の高さ」、そしてその熱量の高い課題を生み出す源泉が渇望するほどの理想で、その理想は自分がユーザーになりきって描く。自分で理想を掲げることができるほど熱く深く物事を考えているかが問われるとも言えますね。

二つ目は、支払者と実際の受益者・利用者が異なるという、医療業界ならではの特殊性をいかに乗り越えるかを考える思考力。ユーザーの満足と同じぐらい、支払者がいかに納得をしてお金を払ってくれるかが大事です。その両面を考えるのは、面白いし楽しいですね。

 

――ここまでJMDCの事業開発の実践における特徴を伺ってきましたが、事業開発する環境として、魅力的なポイントはありますか。

人の観点でいうと、その道の専門家が揃っていることです。誰かに聞けば絶対わかるというのは、心強いですしスムーズです。新しくサービスを作る時には、めちゃめちゃ聞きます。皆すごく真摯に、ちゃんと話に乗ってくれる良い人が多いですね。例えるなら「大人なベンチャー」というところでしょうか。自分が持っていない視点が周りの人からどんどん出てくるのは刺激になりますし、経験を重ねたメンバーが多いので、なおさらです。なので、20代などの若い方がジョインすると、吸収できることが多くて質も高いので、すごく贅沢な経験ができると思います。

 

もう一つ、事業開発環境の魅力としてはJMDCにはデータという優位性のあるアセットを持っていることです。例えば、レセプトデータや健康診断のデータはJMDCが20年をかけて集め、積み上げてきており、他社の追随を許しません。また医療機関はもちろん、製薬や生損保、健保といった医療業界のプレイヤーたちとつながりがある。グループに加わっている会社も各々が強みをもっていて、良質な関係を築いているんですよね。だからこそJMDCが持つアセットにはすごく意味があると感じます。

 

――多くの事業開発を行う古田さんですが、今後の目標について教えてください。

やはり「人々の未病・予防に貢献する」ことですね。日本では国民皆保険の恩恵もあって、例えば自分の世代では医療費が3割負担で、7割は国が負担をしてくれる。そのため、人々としては、金銭的な痛みが少ないため、未病・予防に対する意識がどうしても低くなってしまう構造であると感じます。そういった構造の中で「いかに人々に、健康の時から健康を大事にしてもらうか」という難題が浮かび上がります。僕としては、ぜひこの難題に取り組んでいきたいと考えています。

 

――最後に、これからJMDCへの入社を検討する方に向けて、「こういう考え方を持っていたらJMDCでの事業開発が楽しいだろうな」と思う志向性や心構えを伺えますか。

僕は前職だとオールマイティなタイプだったので、勝手に万能感を感じていたんですよね。でもJMDCに入ってみると人材レベルが高くて、上には上がいるとすぐにわかりました。なので、それを受け入れることがまず大事だなと。そうすることで、自分の尖りや強みが見えてくると思います。

また、強みを磨いていくうちに、一か所への視点が深くなりますよね。そうすると自分が見えている後ろに「盲点」が生まれるわけです。JMDCには医療の専門家をはじめ一つの視点を深めた人が多いのですが、皆独自の視点を大事にしながら、盲点の存在を認識したうえでコミュニケーションをとってくれる。その絶妙なバランスをわかっていると仕事がしやすいと思います。

 

このタイミングでJMDCに加わると、自分で市場や需要を生み出していける面白さがあると思います。JMDCでの事業開発は労働ではなく仕事として、なんならもはや仕事ではなく活動として取り組みたいという意気込みのある人にはおすすめです。自分の掲げるビジョン次第で多くの人を巻き込んで、もしかしたら大きな波を起こせるかもしれない。そういうワクワク感が、今JMDCにジョインして事業開発では味わえると思うので、そんな志向性を持った方をお待ちしています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
もし少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらの採用ピッチ資料に詳しいことが記載してありますので、ぜひ一度ご覧ください。