2023年に新卒としてJMDCに入社した石ヶ森さん。学生時代にはイギリス留学中にデータサイエンティストとしてインターンを経験したり、ICUで公的利益について学んだりと、幅広い経験を積み、JMDCに入社しました。コンサルティングファームへの就職も考えていたという石ヶ森さんが最終的にJMDCを選んだ決め手となったのは「知的クリエイティビティ」を発揮できる環境だったこと。この「知的クリエイティビティ」とは、どのようなことなのでしょうか。入社3ヶ月で大きな仕事を任され、大きな成長実感を得ているという石ヶ森さんに、JMDCに入社した経緯や現在の業務についてお話を伺いました。
<プロフィール>
石ヶ森 祐(いしがもり ゆう)株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部
学部時代に途上国開発政策・生物学等を学んだのち、英国サセックス大学科学政策研究所に進学。在学中はScientometricsを用いた日本のバイオテック企業/製薬企業のR&Dネットワーク分析に関する修士論文を執筆しながら、現地の科学情報分析企業で医療財団の研究助成金の効果検証を経験。2023年11月JMDCに新卒入社後は、製薬企業向けコンサルタントとしてOJTを受けながら、データサイエンス案件の分析サポートにも従事。
就職活動の軸は「知的クリエイティビティ」
――まず、石ヶ森さんのご経歴について教えてください。
非常食に関する研究に興味を持っていたこともあり、東北大学農学部に進学しました。非常食に興味を持ったきっかけは東日本大震災です。避難所生活を経験したときに、非常食の本来の役割を考えると味は二の次かもしれませんが、美味しいとはとても言い難いものでした。ストレスフルな避難所生活を経験した後に、食の持つ科学的/心理的効果に着目するようになり、非常食に興味を持ち始めました。
しかし、東北大学農学部に通ったのは1年間だけで、その後はICUに編入しました。きっかけは東北大で行われていた復興農学という授業です。被災地に赴いて復興の現状を見たときに、社会を変えるためには技術そのものだけでなく、その技術を理解し、支援しようとする行政の取り組みが必要だと感じました。社会基盤構築という文脈から、途上国の生活改善などの公的利益に関心を持つようになり、そうした研究を行うためにICUに編入しました。
大学院時代にはイギリスにて科学技術政策を専攻しました。ITやエネルギー政策等技術が密接にかかわる分野の政策を勉強しながらも、これまでの学部での専門性を生かすことができる医療・医薬品産業への関心も高くなり、卒論は日本の製薬企業の論文共著者ネットワークをデータを用いて可視化しました。また、卒論を書きながらも3ヶ月間、データサイエンティストとしてフルタイムのインターンも経験しました。ここでは、科学研究費や医療研究支援の結果が本当に価値のあるものに活用されているのかを、データを使って分析していました。
――学生時代に幅広い経験を積まれたのですね。どのような軸で就職活動をされたのでしょうか。
2つの軸で就職活動をしました。1つは「知的クリエイティビティ」を発揮できる環境であることです。「知的クリエイティビティ」とは論理的に考え、独創性を出してそれをなんらかのアウトプットに落とし込むことだと私は考えています。音楽が好きな両親、本を書いていた祖母・曽祖父母の影響もあり、クリエイティブな世界に憧れを持っていました。しかし、自分自身も音楽活動をやっていたものの、芸術分野では他の人より特別秀でているわけではないと感じていました。
一方で、祖父が家畜用のトウモロコシ等の品種改良を行う研究者だったり、幼い頃から学校の授業で研究者と交流する機会などもあったため、アカデミックな分野にも興味を持っていました。芸術者になるのは早々にあきらめた私でしたが、論理的思考が試される分析・研究・調査等は私の肌に合っており、高校時代からいろいろと機会をいただくことができました。そうやって経験を積んでいく中で、細部にまでこだわり自分が新たに魂を吹き込んだ研究の成果はある意味で自分の作品であり、これもある意味自分が夢見たクリエイティブ活動なのではないかと考えました。そのため、就職活動では、自分の関わったものがすぐに社会に還元されてほしい。しかし、そこにはクリエイター的な遊び心があり、自分の知的好奇心と論理的思考が生かせる。そのような仕事ができる業種や会社を探していたのです。
2つ目の就活軸は「グローバル」でした。ICUのような国際性の高い大学に通っていたり、イギリスの大学院に通っていたり、もともと途上国支援に興味を持っていたりしたこともあり、グローバルに関わる仕事がしたいと思っていました。
JMDCなら自分自身が積み上げてきた「点」が「線」としてつながると思った
――ヘルスケア領域に興味を持った理由について教えてください。
理由は3つあります。1つ目はコロナ禍の影響です。ちょうど卒論を書いている頃に新型コロナウイルス感染症が流行し、病院も逼迫している様を目の当たりにしたことで、医療や製薬といった領域に興味を持ちました。
そして2つ目が、開発学で途上国支援に関して学んでいる際、ヘルスケア領域にもたらせる自分の価値を感じたときです。大学4年次に参加した国際連合研修の職員からセミナーを受けたときに、自分の価値を強く実感しました。人道支援などを勉強されている方はどちらかといえば文系出身の方が多く、UNESCOなどのディスカッションに意欲的に参加している一方で、理系で生物学や化学も学んできた私はWHOやFAOのセミナーでより興味と基礎知識を持ってディスカッションに参加ができました。この時に理系の知識と人々の暮らしを改善させたいという意識の両方を活かせるのはヘルスケア領域だなと感じ、大学院では開発学ではなく、よりヘルスケア領域を含んだサイエンスによるイノベーション創出に関わることのできる科学技術政策を専攻することを決意しました。
3つ目の理由は留学中のイギリスでの経験です。イギリスでは歯科にかかると「うちでは新規の患者の受け付けはしていない」「6週間待ちです」などと言われることや、医療費が超高額になることが多いんです。ストレスが原因の歯ぎしりで顔が腫れた際には、治療に25万円の費用がかかると言われ、結局ハンガリーまで行って治療を受けた経験があります……。また、公立病院は1、2週間待ちなのでインフルエンザになっても行くころには治っている。仮に診察してもらっても薬局で市販薬を買えと指示されることが多いと聞き、体調不良の際は原因もわからない不安さでいっぱいでした。
そのような経験から、あらためて日本の医療制度の優秀さを痛感しました。日本では当たり前だと思っていた医療機関を自由に選べることや、ほとんどの方が窓口3割負担で医療サービスを受けられる医療制度が、決して当たり前ではなかったことに気付かされたのです。ただ今後、少子高齢化が進むなかで日本の医療制度が盤石という保証はありません。私も医療に何か貢献できることはないだろうか。そのような想いから、ヘルスケア領域への関心を強く持つようになりました。
――ヘルスケア領域への関わり方として、JMDC以外にも様々な選択肢があると思います。そのなかでJMDCを選んだ理由はなぜだったのでしょうか。
JMDC以外に、コンサルティング業界にも興味を持っていました。なぜなら、コンサルタントは知的クリエイティビティを発揮できるという観点ではぴったりの環境ですし、データも重要な世界のため、データサイエンティストとしての経験も活かせると考えたからです。また、知的好奇心が旺盛なタイプなので、多種多様なクライアントと仕事をすることで、様々なデータを見ながら幅広く仕事ができそうな点も魅力でした。大手コンサルティングファームであればグローバル案件も多いため、就活の軸には合っていました。
それでもJMDCを選んだ理由は4つあります。
1つ目は、JMDCの持つデータは知的クリエイティビティの宝庫だと思ったからです。特に業界最大級のヘルスビッグデータアセットを複数持っている点はすごく大きな魅力でした。どれだけすごい頭脳が集まっていても、オープンデータだけではなかなかインパクトを出すことは難しい。大量のデータと優秀な頭脳が組み合わさったJMDCであれば、自分にしかできない知的クリエイティビティを発揮できるだろうと思いました。
2つ目の理由は、会社や業界の雰囲気です。様々な会社の方々と接点を持たせていただきましたが、圧倒的にJMDCの雰囲気が良いと感じました。JMDCはものすごく温かい雰囲気で接してくださって、人事だけでなく面接官の方も私に興味を持って話してくれて、絶対忙しいはずなのにぴりぴりした空気を一切出さない点がすごく好印象でした。実際、入社後もみなさんとても優しいし、Slackも常にわいわいしています。私は周りの雰囲気で自身のパフォーマンスが変わるタイプだと思っているので、ここなら良い結果を出し続けていけると思いました。
3つ目の理由は、幅広く色々なことに挑戦してみながらも何か軸がほしかったからです。軸といっても「職種」としての軸と「業界」としての軸があると思いますが、私はツール・武器を複数持ちながらも一つの理念を持って仕事をしたいために業界的な軸を持ちたかったのです。軸を何にするかと考えたときに、これまでの経験からヘルスケア業界しかないなと考えていました。軸があるということは、自分を一言でより具体的に表せる言葉を持つということにもなります。たとえば3年後、「何をしてきた人ですか」と問われたとき、「コンサルタントとして様々な業界の戦略を考えてきました」よりも、「ヘルスケア業界でデータを使って予測アルゴリズム開発・臨床試験支援、戦略略支援をしてきました」と答える方が明快に自分を表せると思ったのです。
そして、4つ目の理由はこれまでにやってきた「点」が「線」としてつながると思ったからです。データサイエンティストとしてインターンの経験、コロナ禍やイギリスでの医療経験をもとにヘルスケア領域に興味を持ったこと、公的利益に関わる仕事がしたかったことなど、それらをつなげて考えると、JMDCだと思いました。なにより、この会社に入るためにこれまで寄り道をしてきたと納得できる、理屈ではない何かを感じたんです。
入社してみると、思った通りでしたね。日本最大級のヘルスビッグデータがありますし、グループ会社も増えているため、物凄いスピードでデータ量が増加しています。また、それらデータから新しいアイデアも溢れてきますし、とてもやりがいを持ちながら働ける環境です。会社員という立場ではありますが、誰も見つけていない発見がこの中に眠っていると考えるとどこか研究者的なワクワク感があります。多様なデータを保有している点がJMDCならではの魅力を生み出しているんだなと思いますね。
入社3ヶ月で驚くほどの成長実感と充実感が得られた
――入社してからはどのような業務に携わってきたのか教えてください。
入社1週間後にはハンズオン型のコンサルタント案件のサポートを担当し、入社1ヶ月後には海外案件で先方との窓口となり、提案作業などを担当しました。また、過去のウェビナー参加者向けにアプローチして新規案件の獲得につなげる業務も担当しました。
――それぞれのプロジェクトについて詳しく教えてください。
1.ハンズオン案件のサポート
まず入社1週間後に、上長である北川さん、大久さんのクライアント面談に同席し、データ分析を担当しました。プロジェクトの内容は認知度が低いため誤診されていそうな特定の希少疾患のポテンシャル患者を特定する方法を探るというものです。先方は製薬会社としての情報や医師と話した内容など、JMDCはヘルスビッグデータを持っているため、お互いの情報をもとにディスカッションを行い、特定方法を探し出しました。コンサルタント業務と名を持つものの、自社データを活用できる点がJMDCの強みです。当社では複数種類のデータを保有しているため、自由度高く分析を繰り返し、仮説の検証を行うことができます。本プロジェクトでは2種類のデータベースを併用し、ディスカッションを元に、毎週分析を行い、そこで出た知見を次の週の分析に生かす流れで進めていきました。これはまさにJMDCの強みが出た案件で、それを入社後すぐに経験できたことはとても貴重でした。
2.海外案件での窓口対応
続いて入社1ヶ月後の案件です。海外の製薬企業が日本に進出するということで、JMDCにお問い合わせをいただいたプロジェクトになります。具体的には、先方から特定の傷病についての調査に関してお問い合わせをいただき、JMDCが保有するデータを用いた場合の調査の実現可能性に関して議論しました。すると、「日本ではこの傷病に関してもっと患者数が多いはずなのになぜこんなに少ないのか」などの追加質問があり、それに対して日米での傷病の分類の違いや医療制度の違いなどを説明させていただきました。
このように、先方が知りたい内容を伺った上でJMDCが持つデータの説明をしたり、日本の制度やリミテーションの説明をしながら、最終的にJMDCならこのようなことができますといったご提案を行いました。英語ができるということで私が担当させていただきましたが、そういったグローバルな案件を担当できたのは入社前には想像していなかった嬉しい驚きでしたね。
3.新規案件の獲得
JMDCでは製薬企業の担当者向けにデータ利活用に関するウェビナーを定期開催しており、過去のウェビナー参加者向けに、JMDCの扱うデータのアップデートについてDMでご案内するという業務も行いました。たとえば2022年、JMDCグループにリアルワールドデータ社が参画したことを機に取り扱いデータが増えたこと、JMDC内にマーケティングソリューションの部署が設立されたことなどをご案内しました。私としても自社のデータを説明し、製薬企業の担当者様と議論をおこなうことでデータの利活用方法に関して理解を深める機会にもなりますし、先方としてもデータのアップデートがあったことを知る良い機会になります。
また、そうした当社マーケティング活動において、これまで人力で行っていた業務をプログラミングで効率化したり、さらにはクリエイティブまで自動化したりすることで、想定していなかった方からのお返事もいただけました。ここはわずかながらもITの知識が活かせた部分かと思います。
――新卒でもそのような工夫をすることが認められる環境なんですね。
そうですね。私自身もSlackで「誰かできる方はいますか」と降ってきた案件にはできるだけ手を挙げるようにしていて、新規案件獲得業務もその1つでしたね。内容を聞いたときに、「これは自動化した方がいいと思います」と提案して、そのまま自分が担当しました。
――これからご入社される方も、石ヶ森さんのように自分自身の強みを活かしてどんどんチャレンジできそうですね。
私の場合はたまたまデータという強みがあったわけですが、これがもともと医療職の方なら医療の知識という強みが活かせますし、他にも持っている強みは何でも活かしていける環境だと思います。自分の強みを自分で発信していけば、いろいろと仕事を経験できて成長できますし、そうやって手を挙げても怒られたり気まずくなったりもしません。そのような点が、JMDCを選んだ理由でも挙げた雰囲気の良さだと感じています。
――心理的安全性の高い職場なのですね。
組織が大きすぎず、みんなの顔も見えやすいですし、コミュニケーションも取りやすい会社だと思います。新卒の場合、あまり知らない先輩のことを少し怖い存在だと感じるかもしれませんが、JMDCにはそのような方はいません。社員同士の距離感がちょうど良く、コミュニケーションを取り合って仲は良いけど、距離が近すぎるわけでもない。中途入社の方もたくさんいるけど、新卒も活躍できる環境がある。上場していて安定した企業だけど、ベンチャーとしての裁量・スピード感もある。本当にちょうど良いバランスだと思いますね。
――入社して3ヶ月ですが、お話しを聞いていると非常に濃密で充実した期間だったように感じます。
本当にその通りで、今回の取材のためにカレンダーを見返してみたのですが、自分でも「これ全部3ヶ月でやったの?」という驚きがありました(笑)。イギリスでも就活をしていたので、日本で就職することを決意した後も、焦りと迷いもあったんです。というのも、イギリスの大学院時代の同級生には官僚やコンサルティングファームを何年も経験してから大学院に入ったという方も多くて、自分だけがまだ大学生気分で何も成せていないと感じていたからです。
日本で就職したらバリバリ働くぞと思いつつも、日本企業では「最初の3年は修行期間」みたいなイメージもあり、大学院時代の同級生とはまたすごい差がついてしまうのではと心配していました。しかし、JMDCに入社してからは、強みを活かし濃密に働くことができて、大きな成長実感も得られています。
もちろん、まだまだうまくできないこともあります。ただ、自分がやっている仕事は日本ではもちろん、まだ世界的に見てもそんなに普及していることではなく、新しい分野に携わっている充実感があります。また、会社全体で見ても新しい取り組みがどんどん始まっていて、成長している感覚があります。成長している会社の中で、自分自身の成長も感じられることは、とても幸せです。
知的クリエイティビティをチームとして発揮できていることが何より嬉しい
――お話を伺っていると、やはり石ヶ森さんの就活、そして現在の活躍の軸となっているのは「知的クリエイティビティ」だと感じます。入社して3ヶ月、知的クリエイティビティを発揮できた場面について教えてください。
やはり最初に担当した誤診に関するデータ分析のハンズオン案件は、知的クリエイティビティを発揮できた経験だったと思います。データ操作をおこなっただけではなく、ローデータを自分で見たことによって具体で他のメンバーに仮説を伝え、先方のニーズに合致した結果につなげることができたと感じました。、ここでは特に、データサイエンティストとしてではなく、コンサルタントとして、データに強い自分の特徴を出せました。なにより今回の分析結果は世界のどこを見ても私たちのチームしか持ち得ないもので、私にとってJMDCでの1つ目の「作品」となりました。
また新規案件獲得業務も先ほど申し上げたようにGASを使って工夫するなど、日常の何気ない業務においても知的クリエイティビティを発揮できた仕事だと思います。こうした知的クリエイティビティを自分1人ではなく、チームとして発揮できているのが何より嬉しいことです。たとえばデータを出してくれる方がいて、私がそのデータを見て分析して、別の方が医療職の経験を活かして傷病や薬剤について教えてくれて、コンサルティング経験の豊富な方がプロジェクトの進め方を教えてくれてというように、全員の顔が見える環境で、それぞれが知的クリエイティビティを発揮しながら仕事を進められることに大きな喜びを感じます。
JMDCはIT業種でもありつつ、コンサルタント業種でもあり、医療業種でもありながら、製薬や医療従事者とも違う視点を持った会社です。いろいろな知識や経験を持った方がいて、誰かが誰かをフォローしながら1つの成果物を上げるという点がJMDCの魅力だと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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