元外資系コンサル人材が語る「ヘルスケア×事業開発」の魅力とは

外資系コンサルティングファームやヘルスケアスタートアップを経てJMDCに参画し、事業開発業務に従事する北川さん。これまでのキャリアで一貫して事業開発に取り組んできた北川さんは、「JMDCでの事業開発は他社にはない面白さがある」といいます。JMDCならではの面白さや強みとは何か。事業開発に関して豊富なキャリアを持つ北川さんがヘルスケア領域のなかでJMDCを選んだのはなぜなのか。北川さんのこれまでのキャリアと、JMDCでの具体的な業務内容について伺いました。

 

<プロフィール>
北川 諒(きたがわ りょう)株式会社JMDC 製薬本部コンサルティング部 ビジネスプロデュースグループ ディレクター
外資系コンサルティングファームにてマネージャーとして、製薬会社向けの新規事業戦略の策定・患者向けサービスの企画・臨床開発業務のデジタル化などの幅広いテーマのコンサルティング業務を担当。その後、ヘルスケアスタートアップに参画し自社アセットを活用した新規事業開発に従事。薬局・オンライン診療プラットフォームを活用した患者向け新規サービスの開発等に従事。2023年2月JMDC入社。

 

「手触り感」が得られたことでヘルスケア領域に興味を持った

――はじめに、北川さんのご経歴について教えてください。

最初に入社した外資系コンサルティングファームでは、保険会社や官公庁、消費財などの様々な業界を担当しました。例えば、保険業界向けのプロジェクトであれば、海外の保険会社の日本市場参入におけるGo to Market Strategyを考えたりしました。官公庁ではより多くの外資系企業を日本に誘致するための施策検討支援や、消費財ではECサイトの売上予測のモデル構築をしていました。

 

――最初からヘルスケア領域を担当されていたわけではなかったのですね。

入社当時はヘルスケアにそれほど強い興味を持っていたわけではありませんでした。元々、ポートフォリオマネジメントやプロモーション戦略といったマーケティング業務に関わりたいと思っていたため、特定の業界に関心を持っていたわけではなかったのです。ヘルスケア関連の業務に関わりをもったのは入社3年目のことです。最初の仕事は、とある製薬会社のグローバル横断でのコスト削減プロジェクトでした。その後はデジタル組織の立ち上げや、臨床開発業務のデジタル化、患者向けサービスの企画などを担当しました。

このように製薬会社向けのプロジェクトを担当したことで、社内で「北川はヘルスケア領域の経験がある」という認識が形成されたように思います。そこからはヘルスケア関連のプロジェクトが発生したときにManaging Directorから声がかかるようになり、少しずつヘルスケア領域の仕事が増えていきました。ヘルスケア領域への想いが深まったきっかけは、製薬会社のマルチチャネルマーケティングのプロジェクトの中で、サブワークとしてPV(医薬品安全性監視)部門と連携した検討の支援に携わったことです。PVとは、薬の有害事象の情報を収集し、的確な安全対策を立案すると共に、安全性情報としてデータベース化し、当局に報告する仕事です。

その業務では「手触り感」を強く感じたことを覚えています。それまで、様々な業界での戦略策定・新規事業開発の支援をする中でも、どのように世の中の役に立っているのかという実感を持てずにいました。しかし、実際に薬の有害事象に悩まされる患者さんの詳細な症状を見るなかで、少しでもその有害事象を防ぎ、安全性を確保するというのは、「仕事の意義」を強く感じられる体験だったのです。それをきっかけにヘルスケアへの想いが高まっていきました。

 

――それからヘルスケアスタートアップへ転職されましたが、転職理由は何だったのでしょうか。

いま申し上げた経験もあり、患者さん・社会に貢献する手触り感のある仕事に挑戦したいと考えたからです。ヘルスケア領域の事業開発であれば、自分が努力する意義を感じながら仕事に取り組めると考えました。私が転職したヘルスケアスタートアップのメイン事業は、オンライン診療サービスでした。コロナを契機にオンライン診療の利活用が徐々に進む中で、オンライン診療プラットフォームを使って製薬会社に新しい価値提供ができないかなどを考える新規事業の企画検討を担当していました。他にはSaMD(Software as a Medical Device)、いわゆる治療アプリのプロダクト企画開発なども担当し、プロジェクトの進行管理やサービス設計などを行っていました。

 

「ビジネス」と「社会貢献」のバランスの良さがJMDCの魅力

――ヘルスケアスタートアップを経てJMDCに入社されました。転職の理由は何だったのでしょうか。

オンライン診療もSaMDも、現在注目されている最先端の領域です。ただ、実際にビジネスをしているとチャレンジも多く、私の力不足もあり特筆した成果を出すのに苦戦しました。特に、患者・医療従事者・製薬企業を初めとした多くの利害関係者が存在するヘルスケア領域では、各ステークホルダーの利害関係を調整しながら、サービスをスケールさせマネタイズさせることの難しさを身を持って実感しました。そこで、ヘルスケア領域で事業成長を実現している企業における成功の要諦を学びたいと考えるようになりました。

 

――そこでJMDCに入社されたわけですが、どのような点に魅力を感じたのでしょうか。

いくつかの企業を検討したなかで、「ビジネス」と「社会貢献」のバランスが取れていたのがJMDCでした。入社前に様々な会社の方とカジュアル面談させていただいたのですが、企業文化によって、事業説明の話し方に違いがあるように感じました。ヘルスケア業界でマネタイズに成功している企業はビジネスに寄っていることが多く、逆に強いミッションを持ったスタートアップは社会貢献に寄っていることが多いように感じました。社会貢献につながることを個人的には大事にする一方で、事業がスケールできないと与えられるインパクトも限定的になってしまいます。私自身、前職のヘルスケアスタートアップで、その難しさは実感していました。

社会貢献を実現しながらビジネスとしてもスケールさせる。入社前に社員の方とお話をさせていただく中で、そのバランス感がJMDCは秀でており、私の感覚にもフィットするものでした。

 

――JMDCではどのような仕事をしたいと思われたのでしょうか。

これまでのキャリアの中でも行ってきた事業開発の仕事ですね。これもJMDCを選んだ理由の1つになりますが、この会社なら事業開発ができるというイメージが持てたんです。カジュアル面談を通して、新しいサービスのアイデアがいくつも湧き、社外の人間でもこれだけ思いつくわけですから、入社すればさらに様々なアイデアが浮かぶのではと思い、ワクワクしました。

JMDCでの事業開発のポイントは2つあると思います。1つ目は、既存ビジネスが成長していること。入社前にIR資料を確認し、自分なりに分析したところ製薬ビジネスが伸びていることがわかりました。既存事業が伸びているからこそ、新しいサービスに挑戦する原資・風土ができてくると考えています。

 

▲2024年3月期 通期決算説明会資料より抜粋

そして2つ目は、グループ会社のデータアセットです。JMDCのアセットの1つに様々なグループ会社があり、各社でヘルスケアに関わる多くのデータ・ケイパビリティを保有しています。加えて、続々と新しい会社がグループインしてくださることもあり、これらの企業と連携することで、提供できるサービスの幅が常に広がります。

 

▲JMDCグループの一覧

 

自律したメンバーがそろっているからこそ、良い雰囲気で働けている

――入社前と入社後でJMDCの印象は変わりましたか。

イメージ通りで、入社前後における期待値ギャップはまったくなかったです。メンバーは皆さん思いやりのある方ばかりで、とても気持ちよく働けています。私もメンバーが活躍できるように、できることは全部してあげたいと素直に思えますね。それは、メンバーが責任感を持って働いているからだと思います。自律しているからこそ、お互いにリスペクトできるし、主体的に動けるのです。本当に恵まれた職場環境だと感じています。

 

――JMDCでの業務についても教えてください。入社してからは、どのような業務を担当されたのでしょうか。

入社後はまず製薬会社向けのコンサルティング部のチームに配属になりました。最初の1週間程度は製薬本部のキャッチアップを行い、その後はオムロンとJMDC、その他6社が発起人・代表幹事として立ち上げた健康経営アライアンスに携わりました。並行して、所属チームで各案件の提案やデリバリーのサポートをしていました。入社3か月後からチームマネージャーとしてチームの管理・運営を行いました。悩んでいるメンバーがいればサポートをしたり、クライアントにどのような内容をご提案するのかディスカッションをしたり、チームとしての全体の数字の管理もしました。

チームマネージャーとしては、組織のボトルネックを特定し、事業成長をドライブするために何ができるのかを常に考えるようにしています。例えば、製薬会社の方がよく直面する課題を一覧化した「課題打ち手管理表」というものを作り、「こういう発言があれば、これを提案する」ようにすればメンバーのスキルの底上げができるのではないかと考えました。しかし、パターン認識的な対応よりも、メンバー一人ひとりにより深く考えることを促す方が本質と気づき、やめてしまったのですが…。あとはチームのパフォーマンスダッシュボードも作りました。これはメンバーがどのような案件を担当していて、現状に対してどのような目標ギャップがあるのかを可視化するものです。

 

▲課題打ち手管理表

このように新しいことに積極的に挑戦してきましたし、メンバーにもそれはお願いしてきました。ただし、新しく始めることと同じくらい辞める判断を大事にしています。新しいことをどんどん増やしていくと必ずパンクするため、そこはチームマネジメントで意識している部分です。

 

――JMDCにおける事業開発業務についても教えてください。

事業開発については、いきなり新しい事業を作るわけではなく、まずはJMDCがどのようなアセットを持っていてどのようなサービスを提供しているのか、きちんと理解することに重点的に取り組んできました。例えば、ペイシェントジャーニーのようなソリューションがどのようにデリバリーされているのかについては、自分自身も手を動かして経験するなど、現場感を大切しながらやってきました。そのうえで、もう少しこういうことができるのではないかといった事業のアイデアが色々と出てくるため、それを自分なりに組み合わせながら事業開発を行っています。新しいアイデアとは既存のアイデアの組み合わせとよく言われますが、いまはそこに注力していますね。例えば、ペイシェントジャーニー分析を進化させ、希少疾患患者の併病などの特徴のモデル化し、潜在患者の掘り起しを行うためのソリューションの構築を行いました。このソリューションは複数のクライアントに横展開でき、さらに進化を続けています。

そうした試みができるのも、JMDCが豊富なアセットを持っているからこそだと思います。そのときはどう使えばいいかわからないようなアセットであっても、後から組み合わせられそうなアセットが出てきて、思わぬところからアイデアが生まれたりもします。

 

データの取得から事業開発まで一気通貫で行えるのがJMDCの強み

――JMDCで事業開発をする面白さや魅力はどのような点にあるでしょうか。

JMDCには保険者・医療機関等にサービスを提供し、データ集積を担っている事業本部があります。それらの事業本部が社内に存在していることは事業開発においてもかなり優位な点だと思っています。というのも、コンサルファーム時代には、データはどこかで購入するものだったのです。それが、JMDCでは他事業本部と「こういうことがやりたいので、このようなデータを集められませんか?」という会話ができる。そのようにデータの取得から事業開発まで一気通貫で行えることが、JMDCならではの面白さです。

 

▲2024年3月期 通期決算説明会資料より抜粋

また、もう1つの魅力は新しいチャレンジを推奨する文化があることです。細かく指示が欲しいタイプの方にはフィットしないかもしれませんが、「こういうデータがあるから、このあたりの事業部と話してみたら面白いアイデアが出るかも」という言葉をきっかけに自分でドライブしていける方にはフィット感が高いと思います。私も好き勝手やらせてもらえていて、それがすごく面白いんですよね。

 

――事業開発するうえで意識していることはありますか。

まず、ソリューション提供者本位にならないことです。クライアント(製薬会社)がやりたいこと、実現したいことがあって、それに応えるためにソリューションがあるわけです。ソリューションによって実現できる価値のリアリティを大事にしていて、製薬会社の方に「そんなことまでできるんですか」と言ってもらえることを常に目指しています。

 

――ヘルスケアデータが持つ可能性についてはどのように感じられていますか。

可能性の1つとして感じるのは、既存のデータをどう使うのかという「使い方」の面白さです。先ほども新しいアイデアは古いアイデアの組み合わせで出てくるとお伝えしましたが、データというのは組み合わせで見え方が変わるものなんです。それも含めて、既存データをどう使うのかという点はヘルスケアデータの持つ大きな可能性だと思います。

また新しいデータが加わることで、既存のデータのリミテーションを解消できることもあります。JMDCの強みが活きる点ですが、データを集積する事業本部が社内にあるため、他部署との連携も含めて継続的に挑戦していきたいと考えています。

 

▲2024年3月期 通期決算説明会資料より抜粋

――事業開発という仕事の面白さについて教えてください。

事業開発は失敗がつきもので、うまくいかないことも多い仕事です。これはいいんじゃないかと思っても、ぜんぜん刺さらなかったりするんですよ。なぜうまくいかないのか、相手の立場で解像度を上げて繰り返しトライするなかで、刺さりそうなポイントが見えてくるんです。そうやって光明を見出だせたときの充実感は何ものにも替えがたい面白さですね。

またその結果、適切な治療を受けられる患者さんが増えたり、早期に診断がつく患者さんが増えたりと、そういった実際の変化につながることもヘルスケア領域の事業開発のやりがいです。JMDCの事業開発をゲームでたとえるなら、データという「材料」で強力な「武器」をつくり、高難度な「ダンジョン攻略」に挑むような仕事だといえます。暗いダンジョンを抜け出せずにうろうろする辛い時期もありますが、抜け出したときの気持ちよさは別格です。決まったルートを歩くのとは別の楽しさがあると思います。

 

――ヘルスケアという業界自体の魅力は何でしょうか。

事業開発は答えがなかなか見つからずにさまようことも多い大変な仕事です。そのようなときに「もうちょっとがんばろう」と思えるのは、やっぱりヘルスケア領域だからだと思います。自分の仕事が、苦しむ患者さんの助けになると思うと、力が湧いてくるんです。これは最初の会社でヘルスケアに携わるようになってからずっと感じていることです。

それからヘルスケア業界は一緒に働いていて気持ちの良い人ばかりなことも魅力です。これは社内に限らず、お客様や業界全体でそうなんです。ヘルスケアという共通の想いを持って働いている方が多いからでしょうね。

 

――今後、北川さんがJMDCで挑戦したいことは何でしょうか。

1つはデータの可能性を追求したいと思っています。データや既存アセットのかけ合わせで事業開発を行うこと。これはまさに今実現に向けて邁進している事です。それから、少し先の未来としては、外部のパートナー企業とも協力して新たなサービスやソリューションを生み出し、マーケット全体を盛り上げたいと思っています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
もし少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらの採用ピッチ資料をぜひ一度ご覧ください。