ヘルステックカンパニーのPdM仕事術

医療ビッグデータを活かした事業を幅広く展開しているJMDCには、魅力的な経歴や豊富な経験を持ったメンバーが所属しています。今回は、「Pep Up」をはじめとするPHRサービスや新規プロダクトを開発するユーザープラットフォーム開発部において、プロダクトマネージャー(以下PdM)として活躍する井上さんにお話を伺いました。JMDCならではのプロダクトづくりのやりがいや魅力とは。

 

<プロフィール>
井上 直(いのうえ なお)ユーザープラットフォーム開発部 PdM ※2023年1月取材時
ヤフー、大日本印刷を経て2019年、最大手ヘルステック企業入社。開業サービスPFのチームリーダーとして、集客実績前年比165%を達成。2021年11月、JMDCに入社しプロダクトインキュベーション室に配属。グループ会社flixyが運営する「イシヤク」と「メルプWEB問診」「メルプ」のPdMを務めた後、現在はユーザープラットフォーム開発部にて新規サービスの立ち上げに従事。

 

所属組織とミッション

――井上さんが所属されているUP部の役割や体制について教えてください。

ユーザープラットフォーム開発部(以下、UP部)は、「Pep Up」というPHRサービスをはじめ、既存と新規のコンシューマー向けのプロダクトを企画・開発している組織です。Pep Upを導入いただいている健康保険組合様を通してサービスを提供していますが、その他の新規プロダクトも含めてエンドユーザーは基本的に個人のお客様です。JMDCとしてPep Up以外のプロダクトでもコンシューマーにしっかりと価値提供していこうという目的で、今のUP部が立ち上がりました。

UP部はエンジニアだけではなくPdMやデザイナー等、プロダクト開発に関わるメンバーが一緒になっていて、私を含めて3名のPdMが所属しています。

メンバーはそれぞれのスキルセットや希望などによって適切なプロダクトにアサインされる形で、私も複数のプロダクトを担当しております。

 

――その中で、井上さんはどんなお立場で、どんな業務を担っているのでしょうか。

私はPdMとして2022年8月にUP部にジョインし、大きく2つの業務を担っています。一つはPdMとしていくつかの新規プロダクトの開発を担当しています。もう一つは会社全体の動きを見ながら、PHRの事業戦略を立てるプロジェクトにも携わっています。

本プロジェクトでは中長期的なJMDC全社のビジョンを踏まえ、UP部でどのようなプロダクトを作るべきか、既存・新規のプロダクトでどのような価値を提供するべきかといった議論をして、プロダクトづくりに落とし込んでいます。

 

PdMとして大事にしていること

――PdMの定義は企業によって異なると思いますが、UP部で求められるPdMの役割・特徴についてうかがえますか。

一般的なプロダクトに対する向き合いに加えて、ヘルスケアというドメインやJMDCが持つ複数のプロダクトを俯瞰し「正解がないところに正解をつくっていく」のがUP部のPdMの特徴です。バランスを見極める力が必要になるイメージでしょうか。

ヘルスケアドメインにおけるニーズに網羅的に応えられるよう、ユーザーの特徴を捉え事業戦略を立てていきます。ドメインを意識しながら新しい価値を生み出していくことがどのプロダクトづくりにも求められていますので、新規プロダクトをゼロイチで作る際もPep Upなど既存のプロダクトとの棲み分けを考えます。

 

――事業戦略を基にプロダクトで提供するべき価値を決め、開発に至るまでの判断をPdMの方が中心にされているんですね。そのプロセスで大事にされていることは何でしょうか。

ユーザー分析をベースにロジックを固めていくことを大事にしています。特徴ごとにセグメントしたユーザーがPep Upにおいてよく使っている機能とそうでない機能があれば、そこのギャップに注目します。あまり使われていない機能については「本当にPep Upで提供するべき価値なのか」を見直します。

このように感覚ではなく、データで裏付けをとりながら進めます。とはいえ数値だけではなく、定性・定量あわせた材料で判断をしています。

またプロダクトの方向性が決まったら、インセプションデッキなどでチームでの認識合わせを行っています。最初に戦略やドメインをきちんと理解することが大事なので、インセプションデッキを作りながらチームメンバー皆で意見を交える機会を設けることで、戦略をぶらさずにゴールを描けるようにしています。

――そういったPdMとしての力が求められる中で、井上さんご自身はどのようにしてスキルを身につけてきたのでしょうか。

私は新卒でヤフーに入社し、さまざまなサービスでプロダクトマネジメントを行っていました。デジタルコンテンツでは5名のチームで一つのサービスを作って運営したり、コマースやメディア併せて100名弱のメンバーで一つのサービスを作ることもありました。そういった大小様々なサービスに関わった経験が、PdMとしてのベースになっていると思います。

直近では大手ヘルステック企業で開業サービスのPdMをしておりましたが、ユーザーに長く寄り添うような「線」のサービスを企画したいという想いを持ち、2021年11月にJMDCにジョインしました。さまざまな業界・サービス形態でサービスをグロースさせていくためのプロダクトマネジメントを行ってきたため、いま求められる視野の広さやバランス感覚という意味では役に立っているのかなと思っています。

 

UP部のプロダクトづくりの特徴

――UP部のプロダクトマネジメントにおいての難しさや、特徴は何でしょうか。 

先ほど「正解がないところに正解をつくっていく」とお話しした通り、ヘルスケアドメインの難しさは「これが正解です」と一言で言えないところだと思います。すべての方がサービスの対象になるため、さまざまな年代・生活環境の方がいますし、健康に関して人それぞれ信じるものや価値観が異なる。誰もが健康になるサービスを追求するのは難しいな、と思いながら日々取り組んでいます。

その正解がない中で、メンバーを巻き込みながらひとつの答えの認識を作っていく。PdMが自分ひとりで決めていくのではなく、関係者みんなの意思を集めてプロダクトの方向性を定めていく点もポイントです。

 

――そうした難しさを、UP部ではどのように乗り越えているのでしょうか?

私も入社して驚いたのですが、社内にヘルスケアや医療に関する高い専門性を持った方が多いんです。しかもその方々が自然に意見を出して、専門性を発揮されている。PdMとして戦略や認識のすり合わせをリードする際、私が走り回って意見をかき集めるという形ではなく、皆さん自主的に発言してくれます。例えばこちらから出した要件をそのまま受け入れるのではなく「ユーザーからしたらここは違和感がありそう」「自分が以前持っていたサービスではこうだった」といった意見を積極的に出してくれます。皆で意思を固めていくやり方が、UP部には合っていると感じます。

 

――それはUP部の強みですね。そんな自然に意見が集まってくる環境の、土壌となっているものは何でしょうか。

ヘルスケア業界に貢献したいという意欲の高さはもちろんですが、UP部内のコミュニケーションが多く、自己開示ができるメンバーも多いので自然体で話せる関係性であることが大きいのではないかと思います。

例えばスクラムで毎日顔を合わせたり、週1回の振り返りのミーティングでは仕事以外の話もしながら盛り上がっています。私自身現在、異動をしてきてして4か月ほど(取材当時)ですが、ジョインしてすぐに打ち解けることができました。

 

開発におけるPdMの役割

――プロダクトの開発フェーズにおいては、どんな特徴がありますか。

新規サービスの立ち上げにおいては、やはりスピードが求められます。その中でスピード感は意識しつつも、きちんとスクラムを組み確実に開発を進めていく安定性が特徴かと思います。リソースは有限でスケジュールも迫ってくる中で、感覚値ではなく「ここまでのスケジュールであればストーリーポイントはこれくらい」といった計画を各自意識しながら、着実にこなしていきます。

2022年からスクラムを導入したこともあり、現在はスクラム定着への意識が特に強いので最適なスプリントの期間やリファインメントのタイミングなど、毎日ミーティングしながら全員で微調整を行っています。

 

――そのようななかで、井上さんがPdMとしてプロダクト開発で意識していることはどういったことでしょうか。

開発メンバーがスプリントをきちんと回すように動いてくださるので、それがシームレスにできるような土壌づくりを意識しています。要件定義や仕様の決定、他のステークホルダーとの調整といったプロダクトマネジメントの基本をスタックしないように回していくことです。

その一つとして、ドキュメンテーション文化は大事にしています。目的がぶれないよう、何を開発して何を落とすのか明文化し事前に共有します。そこからスクラムでスプリントを回してきちんと蓄積されている実感があり、ドキュメントの積み上げができてきていると思っています。

 

それから他のサービスのPdMとのコミュニケーションも日々意識しています。ゼロイチの新規プロダクト開発とはいえ他のプロダクトも動いているので、そことの連携や棲み分けは必要です。毎週他サービスのPdMと話しながら開発を進めます。われわれが他サービスを理解すると同時に他サービスのメンバーにもこちらのサービス理解をしてもらう必要がありますし、それが全社的にどんなパフォーマンスを生むのかお互い理解しなければいけないので常にコミュニケーションを取っています。

完全に機能やユーザーが切り分けられているサービスはないですし、いくつかのサービスで良いパフォーマンスや効果を出して多くのユーザーを集めることが重要なため、JMDC全体として無駄なく効率的にパフォーマンスが出せるように調整をかけることはPdMとして意識している点です。

 

――PdMの方が連携や調整をしてきちんとバランスの取れた状態で開発ができると、エンジニアやデザイナーの方も安心して開発に集中できそうですね。

そうですね。そうだといいなと思いながら仕事をしています。

 

JMDCのPdMとして働く魅力

――井上さんが感じるJMDC、およびUP部でPdMとして働く魅力はどんなところですか。

社内に健康分野への知見が豊富な方が多く、皆さんプロフェッショナルなのでそういった方たちと協力することで視野を広げていけることは魅力的です。私自身、常に勉強だなと感じながらサービス作りをしていますし、皆さん自分の知識を活かしながら新しい挑戦をしていく姿勢があります。

また困ったときにはそういったプロフェッショナルな方に聞くと、すぐに快く教えてくれます。知識はさることながら、人間力も高いメンバーと一緒にサービスを作っていけるのは魅力的な素晴らしい環境だなと思います。

 

また私が前職で担当していたプロダクトは医師向けの開業サービスで、人生で一回医師が開業するタイミングでコンバージョンするものでした。一方JMDCは「健康」という、どんな人でもいつでも関わるテーマに向き合っています。誰しも持つ問題の解決に貢献できる点は魅力です。「全ての人に健康で豊かな人生を」を体現している会社だと思うので、一度コンバージョンして終わりではなく、ユーザーの人生に寄り添うプロダクト作りができることにやりがいを感じています。

 

――今後はどのような展開や挑戦を見据えていますか。UP部、井上さん個人の両方の視点からお聞かせください。

UP部としては今後も新たなサービスをリリースしていく想定なので、ユーザーの皆さんの健康に貢献するサービス作りを続けていきたいと思っています。

私自身に関しては先ほどもお話ししたように「正解がないところに正解を作っていく」仕事がとても楽しいので、それを継続していきたいと思います。あらゆる人の健康を推進していくために、バリューを発揮するプロダクト開発をしていければと考えています。

 

――最後に、今後PdMとして入ってこられる方に期待していることをうかがえますか。

Pep Upを中心にプロダクトや機能が増えていく中で、PdMの数がまだまだ足りないのが現状です。ヘルスケア業界で新しい仕事に挑戦してみたいと思ってくださるPdMの方が来てくださると非常に嬉しいです。ヘルスケアというドメインで複数のプロダクト、多様なステークホルダーに目を向けながら、複雑なサービスを作っていくことになるので視座を高くしたり思考を深くしたりするのが好きな方に向いていると思います。

またJMDCの基盤であるビッグデータをはじめ、大きなアセットを扱えるからこそ社会に提供できるインパクトも大きくてやりがいがあります。その強力なアセットを扱うためには、多様なステークホルダーとの調整やコストが発生してそれなりの大変さがある。そこを煩雑に感じずに「大変さがあるからこそ、社会に対してインパクトを与えられる」と考えられる方だとよいと思います。半年などの短期間で成果が出るものではないので、年月をかけてじっくり取り組み成果を残したい方にマッチすると思います。

 

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