JMDCグループ全社の成長をリードする「PMI室」とは

医療ビッグデータとICTを活用し、ヘルスケア領域で幅広い事業を展開するJMDCは、M&Aによってこれまでにいくつもの有望な会社をグループ内に迎えてきました。今回は、JMDCグループの各企業の成長や、グループとしてのシナジー効果の最大化にとって重要な役割を担うPMI室についてご紹介します。

 

M&A後の自主独立での成長を後押しするJMDC流PMI

PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、一般的にはM&A成立後に法的要件および会計的要件を満たした上でスムーズに本体事業に吸収するための統合プロセスを指します。

しかし、JMDCにとってのPMIの位置づけは少し異なります。通常の企業買収においては、親会社が子会社を支配下に置き経営権を掌握することも珍しくありませんが、JMDCグループでは買収前の企業名、法人格を維持した上で、経営陣にはM&A後も引き続き続投いただき自主独立で経営に邁進していただくケースが多く、これがJMDCらしいM&Aのあり方とも言えます。その上で、グループに入ることによって各企業がより成長を加速させるための支援を行うのが、JMDCのPMI室です。グループに加わっていただく企業が増えてきたことを受けて、2022年4月に発足しました。

 

▲JMDCグループの構成

 

不足を補いグループシナジーを生むPMI室のアプローチ

PMI室の第一のミッションは、JMDCグループ各企業の事業成長を支援することです。支援にあたっては主に以下3つのアプローチをとっています。

  1. JMDC社やグループ内のほかの会社との協業を促進する架け橋となる
  2. 当該企業の経営チームのメンバーとなり、内部から事業推進を支援する
  3. 人的リソースの限られる会社が事業サイドに集中できるよう、間接部門・管理部門の支援を行う

2023年7月現在、7名のメンバーが業種別に医療(病院等の医療機関)・インダストリー(製薬企業・保険)・創薬・健康経営という4つのセクターでチームを構成し、会社ごとの状況や課題に応じた支援をしています。

 

▲PMI室に所属するメンバーの経歴(一例)

 

また、PMI室では個社単位の支援だけではなく、個社の枠を超えて領域全体でのシナジー効果を生み、グロースを加速させるという、より俯瞰的な視点での役割も担っています。たとえば、医療カテゴリーでは、医薬品データベース、薬剤師向けの業務支援アプリケーションなどそれぞれの会社に個別の強みがありますが、それらは医療DXの推進という国全体の流れ、政策のなかにも位置づけられるものです。そういった大きなテーマに対してお互いが持っている情報を共有したり、クライアントに対して一緒に提案をしたりすることで、グループとしてのプレゼンスを高めていくことを目指しています。

さらに、JMDCグループ全体としてのプレゼンスを一層高めていくためには、グループ会社間でどのような役割分担をすべきか、弱点となっている分野に対してどのようなM&Aやアライアンスが新たに必要か、グループ全体でどういった事業戦略をとっていくべきかといった議論にもPMI室が深く関わっており、商社におけるグループCEOオフィスのような動きもしています。

このように、M&Aをした企業の個社単位の経営改革、あるいはJMDCと各グループ会社の2社間のシナジー醸成だけではなく、より高い視座でグループ全体のアセットを活用し、社会にインパクトを与える成果を生み出すための事業戦略に関わることができるのがJMDCのPMI室ならではの魅力です。

 

個社に最適化したハンズオン支援

JMDCでは規模、ステージ、抱える課題の異なる多様な企業をグループに迎えているため、支援の形も様々です。ハンズオンで経営チームの一員としてサポートをしていく場合にもそれぞれの会社で必要とされる役割が異なるため、個社に最適化した支援を行っていますが、その内容は大きく3つに分けられます。

1つ目は、COOとして参画するケースです。CEOとのディスカッションを重ねながら事業戦略・事業計画の策定をサポートするほか、組織体制の見直しや必要な人材の確保、メンバーのマネジメントも行います。

たとえば、2020年にJMDCグループに加わったクリニック向けWEB問診サービスを提供する株式会社flixy(フリクシー)では、PMI室のメンバーが取締役COOとして従事しました。同社ではそれまで、医師で創業者の吉永代表取締役や、CTOの片岡取締役のリーダーシップのもとエンジニア中心に運営され、インバウンドセールス中心に普及が進んでいました。その後、JMDCグループにジョインした時期にコロナ禍によるDX需要が急速に高まったこともあり、取締役COOがリードする格好で、営業組織の組成、アライアンスによる顧客の開拓といった攻めの役割からコスト構造の精査などの守り部分、幹部クラスの採用等を推進し、同社のステップアップを実現。グループ加入時から5倍以上の医療機関に普及を遂げたのち、2023年には同じJMDCグループで全国でクリニック向け事業を展開する株式会社HERO innovationと事業統合し、更なる成長の道を歩んでいます。

2つ目として、年度末に向けて次の事業年度の予算計画を立案したり、計数管理をしたりといった経営企画部長のような役割を担うケースもあります。

また、スタートアップなどで管理部門のマネジメントが不在の場合には、管理部長として財務経理、法務、人事、総務といったバックオフィス業務全般を担当したり、管理部門自体の人材採用を通じてチーム組成を担う場合もあります。

これまでに培ってきた経験や得意分野、キャリアビジョンによって多様なチャレンジができる、ほかにはない環境に身を置くことでPMI室のメンバー自身も成長を続けています。

 

マネタイズに向けて創業社長と二人三脚で事業計画を修正

PMI室が行うハンズオンの支援について、医師向けの会員サービスを提供する、社員数15名ほどのスタートアップの事例をご紹介したいと思います。

こちらの会社は先行投資型で創業し、まずはマーケティング費を投下しながら会員を増やし、データを蓄積する戦略を取ってきました。十分なアセットがたまり、マネタイズしていく新たなフェーズに入ったところで、PMI室との連携がはじまりました。

まずは売上を立てるための、事業推進部門立ち上げのプラン作りからスタート。創業社長との1on1の打ち合わせを重ね、社長の描いた戦略と現在の課題や悩みを徹底的にヒアリングした上で、PMI室が作成した素案を基にさらにディスカッションをし、合意形成を図りました。大きなプレゼンをするのではなく、密に議論をしながら社長と伴走してプロジェクトを進めたことが特徴です。

確固たる理念や大きなビジョンを持って会社を創業した社長の思いの実現に向けて、どのようにマネタイズをしていくべきか、そのためにどのようなチーム構成が最適かをを、これまでの経験から得た当該事業ドメインに対する知識と、経営や事業戦略一般に対する知見の掛け算で提案していくことで、創業社長にとっても納得感のあるプランとなり、事業計画を前向きに見直すことが可能となりました。

その後は、プラン実行のための人材を社内外から集め、オン・ボーディングまで行っており、事業化に向けた数年に跨るプロジェクトとして、現在も支援を継続中です。

 

JMDCグループ全体で成長を目指す

個社単位の支援の枠を超えた、グループシナジーの最大化のための取り組みもPMI室が主導しています。

事業レベルでは、JMDC社内の関連部署とグループ各社が、営業・マーケティング活動における密な連携や人材交流をするにとどまらず、1つのサービスに関してお互いの強みを活かした役割分担をして、会社をまたいだチームとして活動しているケースもあります。PMI室では、こういった連携の意思決定をリードし、事業推進を図っています。

また、JMDCグループとしての事業戦略はグループ会社の事業ドメインを含む戦略になっているため、JMDCの経営陣とグループ各社の代表がディスカッションを重ねて戦略を固めていく必要があります。そのような場面においても、日頃からグループ会社のサポートをしているPMI室が橋渡し役となり、関係者を巻き込みながら議論を推進しています。

 

PMI室の付加価値向上にむけて

JMDCのPMI室には様々な領域のプロフェッショナルが集い、各々がグループ各社の支援にあたっているため、孤独な仕事というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。ところが、領域の異なるプロフェッショナルが集まるチームだからこそ、お互いの案件での困りごとに対する理解がスムーズで、カテゴリーの垣根を超えて気軽に相談しアドバイスし合える空気が醸成されているのが、PMI室のおもしろいところです。1の相談で10を理解し知見を共有してくれるメンバーが揃っているので、わざわざ資料を用意して打ち合わせをせずとも、デスクでの会話でアイデアがまとまることも多いようです。

チームとしては、定例の会議でそれぞれの担当領域の状況の共有やナレッジのシェアをすることで、PMI室全体のパフォーマンスの向上を図るほか、JMDCの役員陣を招いた懇親会も毎月開催しているそうです。こういった交流の機会を意識的にもつことで、グループ会社とJMDCとのジョイントプロジェクトも生まれやすくなっています。

これまでのPMI室は、経験豊富なシニアクラスのメンバーを中心に構成されていました。今後はより多様な企業をグループに迎え、ともに成長していくために、個々人の力に依って対応してきた部分を一定程度仕組み化・標準化すると同時に、グループ企業の若手経営者と向き合いサポートしていく、ハンズオン型のCOOポジションに熱量高くチャレンジするメンバーを仲間に加えて、PMI室が提供する支援の価値を底上げしていくことを目指しています。

 

今回ご紹介したPMI室は、JMDCという大きな組織で活躍するタレントと、多様なキャリアを背景に会社を経営するグループ会社の経営陣という、タイプの異なる魅力的な人々と密に仕事をする機会が得られる、稀有なチームです。成長を続ける医療分野のなかで、個性豊かなタレントと連携しながらJMDCグループの飛躍を牽引することは、チームメンバー自身にとっても、大きな成長のチャンスにもなっています。JMDCのPMI室での新たな挑戦にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひご応募ください。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
もし少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらの採用ピッチ資料をぜひ一度ご覧ください。