正解を作る面白さがある!すべてのサービスの土台となる医療ビッグデータ基盤開発の魅力とは

業界最大規模の医療ビッグデータを取り扱っているJMDC。この膨大なデータを格納して、匿名化処理などを行い、分析するための基盤を開発しているのがデータウェアハウス開発部です。健康保険組合や調剤薬局、医療機関などからお預かりする秘匿性の高いデータを取り扱う大切な基盤を開発する上で、エンジニアのみなさんはどのようなことを心がけているのでしょうか。上席執行役員兼CDPOの足立さんとデータウェアハウス開発部 部長の山下さんにお話しを伺いました。

 

■インタビュイー紹介


足立昌聰(あだち まさとし) 株式会社JMDC 上席執行役員兼CDPO(Chief Data Protection Officer:最高データ保護責任者)
東京大学工学部システム創成学科、同大学院修了(法務博士)。2011年より米国系法律事務所入所。特許庁、LINEを経て、2021年にJMDCへ参加。情報処理安全確保支援士会理事、情報法制研究所上席研究員。MCPC IoTスペシャリスト、情報処理安全確保支援士、弁護士、弁理士。

 


山下 慶人(やました けいと) 株式会社JMDC データウェアハウス開発部 部長
SIerなど数社にて、PM・プリセールス・開発・運用などを経験。2012年、JMDCにエンジニアとしてジョイン。基幹システム開発から新規Webサービス開発などを担当した後、2020年にプロダクト開発側の部長に就任。その後2022年より、データウェアハウス開発部を統括している。

 

データウェアハウス開発部がJMDCの屋台骨だと言えるワケ

——お二人のご経歴と、なぜJMDCにジョインされようと思ったのか教えていただけますか。

足立:私は大学で医療機器開発を専攻していたのですが、特定分野を研究者として深掘りするよりも、最新技術に常時触れられる環境を求めて特許に興味を持つようになりました。そこで大学院からロースクールに入り、司法修習を経てアメリカ系の法律事務所に入所。特許や技術系の取引に関する訴訟を中心に扱っていたことから、その後特許庁に入庁し技術政策や最新技術の法的な側面を中心に仕事をしてきました。

その後ビジネスサイドで仕事がしたいと思うようになり、LINEに転職しました。最初はセキュリティセンターでセキュリティとプライバシーに関する仕事をしていましたが、LINEがヘルスケア事業に参入することになり「足立は学生時代、医療の勉強をやっていたんだろう」ということで関わる機会をいただきました。しかしちょうどその頃、LINEとヤフーが合併するタイミングで巨大な組織になったんです。もう少し小さな規模感でビジネス全体を見ながら仕事をしたいと思っていたところ、これまでのキャリアで培ったヘルスケア×データ×セキュリティの経験を活かした総合格闘技戦ができるという話を聞き、JMDCに転職しました。

 

山下:私は新卒でSESのエンジニアからスタートし、証券系システムのバックエンド担当としてオラクルを利用した汎用系システムを開発していました。その後転職し、生産管理システムのプリセールスエンジニアや受注後のPMをしていました。基本的にオフショア開発だったため、手を動かすのは設計書を書くくらいだったんです。次第に「自分で開発しなくて大丈夫なのかな」と不安に思うようになり、もう一度自分で開発ができる環境に移ろうと決め、再度転職活動を行いました。当時ちょうど“ビッグデータ”というワードが流行っていた時期だったのですが、自分で開発できること以外にも「ビッグデータに携わりたい」と考えて会社を探すなかで、自社開発をしていてビッグデータを扱っているJMDCに出会い、その点に惹かれて入社を決めました。

 

——データウェアハウス開発部の役割やミッションを教えてください。

足立:JMDCでは健康保険組合や調剤薬局、医療機関から一次情報をお預かりし、何かしら分析をして、結果をお返しする事業を行っています。一次情報でお預かりしたデータを必要なときに必要な処理を行える状態にしておいたり、分析結果のデータを格納しておいたりするための基盤を安定的に提供できるようにすることが、データウェアハウス開発部の役割となります。そのため、情報セキュリティの3要素である「機密性(Confidentiality)」「完全性(Integrity)」「可用性(Availability)」を担保することは当然ながら、我々はお客様に信用していただける基盤を提供することが一番のミッションであると考えています。

例えば、もし我々が開発しているデータ分析基盤の安全性に問題が出た場合、ビジネスの基盤をも揺るがすことに繋がってしまいます。全てのサービスがデータ分析基盤の上に成り立っているため、その安定性こそがお客様に高品質なサービスを提供できる原動力であり、他社が簡単には追いつけないJMDCの競争力の源泉なのです。それはまさに、私たちの事業の屋台骨とも言えるでしょう。

▲データウェアハウス開発部の業務範囲

 

安心と信頼を担保しつつ、コスパを追求するこだわり

——データウェアハウス開発部の組織体制について、教えていただけますか。

山下:データウェアハウス開発部は3つのグループから成っており「保険者基盤グループ」「データレイクグループ」「医療機関基盤グループ」があります。それぞれの特徴をお伝えすると…保険者基盤グループは最も機密性の高い個人情報を扱うため、極めて重要な部署です。ITスキルだけでなく情報リテラシーも高度なものが求められます。データレイクグループは、匿名化されたデータを扱いやすくするための加工や標準化を担っています。お客様に対峙している事業部からの要望を受けることが一番多いグループですね。医療機関基盤グループは、いま最もチャレンジングな部署になります。2022年にリアルワールドデータ社がグループインして、基幹システムの統合という難易度の高いプロジェクトを抱えながら進めているところです。

 

——データウェアハウス開発部で大切にされている価値観を教えてください。

足立:開発部門にとっての主役は基盤の上で動くサービスやアプリケーションであり、それらがお客様の思い通りにストレスなく動いていることが非常に重要です。信頼できる、安心して使える、満足に動くのは、当たり前。お客様が意識しなくても良い状態が理想です。とはいえ、安心や信頼もタダではない。それをしっかりと価値として、社内外で認めてもらえるプロダクト開発をすることが大切だと考えています。なぜ安心できるのか、なぜ信頼できるのかを言語化して、資料などでお客様に届けていくのも、その取り組みの1つです。

通常、お客様はもちろん、社内のユーザーサイドである事業部門もインフラを設計している人間にしか見えない世界にはあまり関心がありません。逆に言えば、雑に作ろうと思えば作れてしまうわけです。それでも「どうすれば大量のデータを、より円滑に処理できるだろう」としっかりと問題意識を持ち、常に理想的なインフラを追求しながら開発することは極めて重要です。「言われたものを作るのではなく、自分たちが本当に作りたいものを作っていく。この価値観を大切にしていこう」と、メンバーには常々説いています。

 

山下:「コストをかけずに、いかに良いものを作るか」ということにもこだわっていますね。私たちは直接売上に関わる部門ではないため、一人ひとりがコストをしっかり意識するよう努めています。ただ、過剰にコスト削減をしても良いものは作れない。コストとパフォーマンスのバランスを追求するために、徹底して無駄を削ろうと意識しています。そのためにできることは、私たちの開発工数をかけないだけではありません。ユーザー側の運用負荷を軽減させることも大きなコスト削減につながります。

例えば、自治体が保有する国民健康保険のデータ処理をスムーズにするために匿名化ツールを開発した事例なのですが、数年前に1案件のためだけに作られた匿名化ツールがありました。しかし最近になりそのツールの使用ニーズが増え、多数の自治体で使われるようになったのです。ところが急な処理件数の増加に耐えられず、データの匿名化に数日かかる状態になってしまいました。自治体のデータは、自治体によっても項目が異なるためデータのクレンジングに時間がかかるという課題もあったんです。そこで新たな匿名化ツールを開発することにしました。

新しい匿名化ツールが開発されてからはデータの処理スピードが格段に上がり、自治体の担当者の方やJMDCの営業担当の運用負荷が軽減するとともに、私たちデータウェアハウス開発部としても加工しやすい形でデータを受領できるようになりました。このように一定の開発コストをかけても、その後の運用コスト削減のメリットのほうが大きくなるのであればやったほうが良い。トータル的な視点で考えて、何が最もコストパフォーマンスが高いのかを追求しています。

 

▲データウェアハウス開発部の価値/大切にしていること

 

だからJMDCのデータウェアハウス開発部はこんなにも面白い

——データウェアハウス開発部で働く面白さはどこにあると思いますか。

山下:正解がない中で正解を作り上げていくことだと考えます。データウェアハウス開発部は、データサイエンティストの業務の6〜7割を占めると言われる、データの加工部分を担っています。一般的なデータ分析の流れは「どのような分析をしたいかを決めてから、そのためのデータを用意する」パターンと「用意できるデータの仕様を決めてから、このデータならこのような分析をしてはどうかと考える」2のパターンがありますが、JMDCの場合は後者が多いんです。データウェアハウス開発部で先にデータの仕様を決められるため、正解がない中で正解を作り上げる面白さがあり、エンジニアは技術力だけでなく論理的思考力やデータ分析力をバランスよく兼ね備えている必要があります。

また、エンジニアの裁量が非常に大きい点も働く面白さではないでしょうか。技術選定の自由度が高く、自分たちの理想を組み上げていける面白さがあります。また、データウェアハウスはエンジニアの力量の差が如実に表れるんですよ。例えば、新しく入社された方が開発したモノと熟練者が開発したモノではデータ処理速度が全然違ったりします。そういう点もこの仕事の面白さだと思います。

 

足立:そもそも医療ビッグデータを取り扱えること自体が面白いですよね。定期的に新しいデータも蓄積されるため、質と量の価値が高まっていきます。そしてそのデータは非常にセンシティブなものであり、プライバシーやセキュリティの観点から取り扱いの難易度はとても高く、データベースエンジニアにとってもネットワークエンジニアにとっても、間違いなくチャレンジングで面白い環境ですし、他に同じことができるプレイヤーはそう多くはないと思います。

また、日々取り扱うデータの種類やシチュエーションが増えており、それにともなって続々とユースケースも増えています。スタートアップ並みのスピードで新規サービスが生まれているため、とにかく飽きる暇がないのも、面白い点ではないでしょうか。

 

 

——取り扱われているデータの種類には、どのようなものがありますか。

山下:保険者データとしては「レセプトデータ」や「加入者台帳データ」、「健康診断データ」。また最近では医療機関から「検査値データ」なども提供いただいています。検査値データには、レントゲンのような医療画像データや心拍などの波形データもありますし、今後はゲノムデータの取り扱いも視野に入れていますので、今後さらに広がっていくと思います。

またJMDCがこれからの5年で目指している「データの社会実装と、それによる社会変革」に向けて、医療ビッグデータの圧倒的なポジションを実現するためにも、データウェアハウス開発部はとても重要な部署です。

 

▲JMDCの保有する医療ビッグデータ

 

JMDCの屋台骨を支えるメンバーが大切にしてほしいこと

——今後さらにデータが多様化し量も増えていくなかで、よりセキュアなデータを扱ったり、集めたデータの多様な使い道を考える必要が出てきそうですね。そうした場合、データウェアハウス開発部全体のスキルアップが欠かせないと思いますが、エンジニア育成のためにどのような取り組みをされていますか。

山下:自己学習支援の制度がいくつかあるのと、若いメンバーの基本的な開発スキルの向上については、先輩から教えてもらうOJTを実施しています。社内では技術周りに関する書籍の輪読会を実施して、わからないところを互いに教え合ったり、データウェアハウス開発部の中では論理的思考力を鍛えるための研修を行なったりしています。研修を受けた2週間後に再び集まり、今度はチームでディスカッションをしながら学びを深めてもらっています。

 

▲データウェアハウス開発部の自己学習支援制度

 

——データウェアハウス開発部のメンバーの方には、どのような意識で仕事に臨んでもらいたいですか。

山下:データウェアハウス開発部はサービス基盤を開発していることから、システム的にもど真ん中にあるので社内の様々な部署とのハブになることが多いんですよね。だからこそ、なんでも自分ごととして仕事を進める意識を強く持つことが求められるんです。「部門間で落ちているボールを見つけたら、自分からしっかり拾っていきましょう」という話は、メンバーに対してよく伝えています。

 

足立:そうですね。私も山下さんと同じで、受け身にならないことが非常に重要だと考えています。基本的に黙っていても仕事はありますし、それを打ち返せば日々過ごすことはできるんです。しかしそのような受け身の姿勢で仕事をしていると、手戻りが多くなって結局自分の首を絞めることになる。自分の作りたいものを作るんだという意味でも積極性は必要ですし、言われたことをやる中でも、自らコミュニケーションを取りに行くような積極性を出していかなければなりません。

 

——最後に今後どのような組織を目指し、そのためにどのような方と一緒に働きたいか、教えてください。

山下:現在のデータウェアハウス開発部のメンバーはとても責任感があり、真面目でリテラシーの高い方が多いんですね。もちろん良い面もたくさんあるのですが、セオリー通りの発想に偏ってしまうという組織課題もあります。いまワーキンググループを作って、いろいろと検証しながら、新しい技術を取り入れたシステムに刷新しようとしているので、物怖じせず新しい風を吹かせてくれる方に来てもらいたいです。そして、これまでは中途採用だけでしたが、今後は新卒採用にも挑戦していきたいと考えています。そのためにもゼロベースで人材育成ができる組織を作っていきたいです。

 

足立:エンジニアにとっては「何を作ってきたか」というのが、自分の履歴書ですよね。そう考えたときに、言われたものを作る段階から、作りたいものを作る段階へとシフトすることは、エンジニアのキャリアにとって、とても大事なことです。いつまでも受け身でやり過ごしていてはダメだと思うんですよね。何よりも、仕事を楽しんでほしいですし、「JMDCのデータウェアハウス開発部を、自分のやりたいことをやる場として使ってやろう」という気概を持った方と一緒に働きたいと思っています。

 

 

データウェアハウス開発部では現在、一緒に価値提供をしていただける仲間を募集しています!ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にエントリーいただけると嬉しいです。

 

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