元シリコンバレーCTOが日本のヘルスケアベンチャーを選んだ理由

医療ビッグデータを活かした事業を幅広く展開しているJMDCには、魅力的な経歴や豊富な経験を持ったメンバーが所属しています。今回は、シリコンバレーのスタートアップ企業でCTOを務めた小原さんにインタビューを実施。JMDCへの転職を決断した理由やシリコンバレー行きを目指す人に向けてのアドバイスを聞きました。

<プロフィール>
小原 大樹(こはら だいき)
新卒でITコンサルティング事業を行うフューチャーアーキテクトに入社。その後、アメリカに渡り、シリコンバレーのスタートアップ2社でCTOを経験。ゼロからのプロダクト開発や多国籍メンバーのマネジメントに奔走した。2021年9月にJMDCに入社し、2022年4月からユーザープラットフォーム開発部の部長に就任した。

新卒で入社した会社を辞めてシリコンバレーに挑戦

ーー新卒で入社したフューチャーアーキテクトでは、どのような業務に取り組んだのでしょうか?

フューチャーアーキテクトでは技術部門に所属し、全社的に使われていたJavaのフレームワークの開発保守を担当。クラウドがない時代に複数サーバを用いて分散処理システムを構築するフレームワークの保守開発をしていました。2年目にはアメリカ研修でニューヨークとボストンに行き、Hadoopのカンファレンスに参加したり、現地企業を訪問したり貴重な経験をさせてもらいました。そのあとは複数の顧客プロジェクト支援など様々な経験をしています。

ーーその後、シリコンバレーに挑戦されますが、どのような経緯でアメリカに渡ったのでしょうか?

1社目が大きい会社だったので、次はスタートアップで働きたいと思いました。また、もっと技術を磨きたいという思いもあったので、スタートアップと技術の2つの観点から、シリコンバレーに行き着きました。

いきなりアメリカに行くのは不安もあったので、アメリカの永住権を持ちシリコンバレーで暮らす知り合いに相談。シリコンバレーは常にエンジニア不足であると情報を聞き「行けばどうにかなるだろう」と考え、渡米を決断しました。

ーーアメリカでは、どのように仕事を見つけたのでしょうか?

まずはアメリカの就労資格を得るために9ヶ月間、UCSC(University of California Santa Cruz)のExtensionプログラムを受講しました。Web開発やモバイル開発などの勉強をしながら、スタートアップ専門のリクルートサイトで就職活動をして、事業が急拡大中の会社や創業間もない会社、まだ会社を立ち上げる前のところなど、様々なステージのスタートアップと話をしました。そのなかで、最初の立ち上げのフェーズの会社に入りたいと思ったんです。

その後、日本でいうリクナビやIndeedのようなジョブプラットフォーム事業を計画していたチリ人と意気投合し、共同創業という形で起業しました。

ーーシリコンバレーで起業、すごいですね。大変なことばかりだと思いますが、実際どうでしたか?

本当に大変でしたね。なんとかエンジェル投資家が付いて、アクセラレータープログラムに入ることができ、シェアオフィスを使えるようになったのですが、資金調達やプロダクトづくりにはとても苦戦しました。PMF達成に向けて、投資家向けにプレゼンを行ったり、プロダクトを開発していましたが、残念ながら事業は失敗に終わりました。

失敗の原因の一つは、共同創業者との信頼関係ができていなかったことです。ユーザーは獲得できてはいたものの、マネタイズに苦戦している中で彼が考えるビジネスプランを信じ切ることができず、結果的に早い段階で見切りをつける形となりました。私はわずか6ヶ月で離れ、その後、会社もなくなってしまいました。

ーー苦い経験でしたね。その後は?

次にNexGenT(ネクスジェント)というEdTechスタートアップに入ったんです。1人目のエンジニアとして入社し、その後CTOになりました。IT未経験者や初学者向けにネットワークやサイバーセキュリティを教える教育事業に取り組んでいました。

NexGenTでは最初の4ヶ月ほどでアジャイルで開発したMVP(Minimum Viable Product)がPMFを達成。MVPはほとんど1人で開発しましたが、その後全世界を対象に採用を進めチームを拡大し、マネジメントも経験しました。事業も順調に成長し、参画後2年でトップアクセラレータのY Combinatorに入ることができ、シリーズAの調達を行うこともできたんです。

ーーNexGenTの事業は右肩上がりで成長とのことでしたが、小原さん自身の仕事も順調だったのでしょうか?

実はトランプ大統領が就任したタイミングで、ビザの更新が厳しくなり2017年夏に帰国したんです。結局、アメリカに住んでいたのは2年半ほどで、その後は日本で仕事をしていました。

日本からアメリカ企業の仕事をするのはなかなか大変でしたね。全世界採用をしていたので、それぞれのメンバーのタイムゾーンがバラバラで。全員でミーティングするのが難しかったです。マネジメントの立場としては、メンバーとコミュニケーションを取ることが大切なので、私がみんなの都合に合わせていました。日本時間深夜頃に始まるミーティングも多く、早朝に寝て、昼前に起きるという生活が当たり前でした。

米スタートアップで磨かれた対応能力

ーーシリコンバレーで実際に働いてみて、どのような点が日本企業との違いを感じましたか?

アメリカは自由な環境で仕事に取り組めると感じました。アメリカに住んでいた頃は基本的に毎日出社していましたが、何時に行って何時に帰ってもいいですし、仕事を途中で抜けてジムに行ったり、ご飯行ったり、床屋行ったりするのも自由です。

ワーケーションもできますし、ドライブをしながら「ちょっとまだ着かないんだけど」と言いながらミーティングに参加するメンバーもいて、めちゃくちゃ自由を感じましたね。私は自由で風通しが良い環境が好きなので、JMDCでもそういった環境を作っていきたいです。

ーーシリコンバレーで働くなかで、身に付いたマインドセットやスキルを教えてください。

マインド面では、どんな環境でも仕事をやり抜ける対応能力は身に付いたと思います。結構カオスな環境で働いていたので(笑)。創業期は月曜日から日曜日まで毎日仕事をしていて、アメリカでは常に会社にいる生活でした。帰国直前は、家を追い出され、しかもビザが切れるので新しい家が借りられず、オフィスで寝袋を敷いて寝ていました(笑)

スキル面では、ゼロイチのものづくり経験をできたのが大きかったですね。プロダクトや会社のグロースに関して、立ち上げ期はメンバーが少なく、何でもやらないといけなかったので、マルチなスキルが付きました。カスタマーサポートや投資家へのピッチをしたり、セールスのプランを考えたり、エンジニアリングだけでなくビジネスも一通り経験を積めたのは良かったです。

ーーシリコンバレーで働くことに興味のある方に向けて、アドバイスをお願いします。

シリコンバレーと言っても様々なので、目的によってやるべきことは違うと思います。単純に就職したいだけであれば、日本の会社を辞めて、とりあえずシリコンバレーに行くのが一番早くて簡単です。入りたい会社が絞られているなら日本にいる間に転職活動をすることもできます。いずれにせよ技術力と最低限の英語力を身に付けておくといいでしょう。

スタートアップを創業するうえで重要なのは、共同創業者を探すこと。自分自身、シリコンバレーでの1社目は、共同創業者との信頼関係を作り切れずに失敗しました。その反省から2社目では2人の創業者の信頼関係がしっかりしている会社に入りました。創業者の2人はもともとアメリカの空軍出身で、軍隊で一緒に生活していたんです。2人の結びつきが強かったので、一丸となって事業を進めることができました。

1人創業者の会社ももちろんありますが、Y Combinator等のアクセラレータは「共同創業者を見つけよう」とアドバイスをしています。1人ではアイディアにしても何にしても限界があるので、スタートアップを立ち上げるなら信頼できる共同創業者を探すことをおすすめします。

信頼できるかどうかに加えて、共同創業者を探す際のポイントがもう1つあります。それは技術に強い人を必ず入れることです。ビジネス側の人であれば、Technical Co-Founder(技術に強い共同創業者)を探すことが大切です。もし自分が技術に強いのであれば、ビジネス側で共感を持てて信頼できる人と一緒に起業するのがベストだと思います。

ーーその後、2021年9月にJMDCに入社しました。なぜ日本企業に転職しようと思ったのですか?

シリーズA調達後の数年間で会社としても個人としても自分が想定していたより、成長できなかったためです。安定と捉えることもできますが、新しいことに挑戦したいという気持ちや、他のメンバーの成長も考えると代謝が大事だと考えました。そこでCEOにも相談した結果、しっかりと引き継ぎ期間を取ったうえで次のステージに進む決意をしたんです。

あと、日本でアメリカ企業の仕事をするには時差の問題もあったので、次は日本時間で働きたいと思い、日本企業に戻ることを決断。LinkedInを通じてたくさんの連絡をいただき、そのうち数十社とカジュアル面談をしました。その中から最終的にはJMDCに入社することに決めました。

ーーJMDC入社の決め手は何だったのでしょうか?

転職を考える際、社会課題に取り組みたいという軸がありました。様々な話を伺うなかで、医療・ヘルスケア分野が最も身近で自分ごととして捉えられる社会課題だと感じたんです。そのヘルスケア領域のなかからJMDCに決めた理由は主に3つあります。

1つ目が会社の規模です。新卒で入社したフューチャーアーキテクトとアメリカのスタートアップ2社の中間程度の規模であったこと。

2つ目は、今までの経験が活かせそうだと思ったからです。JMDCは強みである医療ビッグデータを活用して、toB向けの事業を拡大している一方で、toC向けの新規プロダクトにも積極的に投資するヘルスケアベンチャーです。これまでのtoB、toC両方の経験が最も活かせて楽しそうだなと思いました。

3つ目は、自由な雰囲気です。toC向けの新規プロダクト開発をする部署のメンバーと面談をさせてもらう中で、スタートアップに近い自由な職場環境を作っていこうとする雰囲気を感じ、魅力に思いました。

強いプロダクト開発組織を作りたい

ーー2021年9月にJMDCに入社し、2022年4月には新設されたユーザープラットフォーム開発部(UP部)の部長に就任。UP部はどのような目的で設立されたのでしょうか?

私がもともと所属していたプロダクトインキュベーション室と個人の健康・医療データを一元管理するヘルスケアプラットフォーム「Pep Up(ペップアップ)」のエンジニアチームが統合して、UP部となりました。Pep Upなど既存プロダクトと新規事業を両輪で進めている部署になります。

ーー部長として、UP部をどのような組織にしていきたいですか?

しっかりと人と向き合い、ベストプラクティスに沿ったマネジメントをしていきたいと考えています。ボトムアップで意見を聞けるような仕組み作りをしていきたいです。

前職・前々職では、一人ひとりが自由に会社への要望や不満を言っていました。社員合宿となると「航空会社はこれがいい」「2人部屋は嫌だ」など口々に意見を言うんです。一方、日本人も意見は持っているはずなのですが、表明することが少ないように感じます。

その結果、メンバーが不満を溜め込んでしまい、よくない状況に向かってしまうことがあります。こういった問題を解消するためにも1on1やSkip Level MTG、雑談会といった適切なコミュニケーション設計を取り入れつつ、心理的安全性を高めてトップダウンとボトムアップをバランス良く取り入れた風通しの良い組織を作っていきたいです。

また、開発体制にも大きな課題があります。JMDCのプロダクトの中でも、Pep Upなど継続的に開発するものは、アジャイル開発を浸透させていくべきだと考えています。プロダクトに携わる人全員で一丸となって、改善できるような開発体制を整えていきたいです。

JMDCは今のところデータを強みとしたtoBのビジネスが中心で、組織的なものづくりが弱い傾向があります。私は新規事業をやりたいという思いでJMDCに入社しましたが、新規プロダクト・既存プロダクト問わず、より良いプロダクトを開発する体制を作っていきたいです。また、今は既存事業に引きずられる形で国内でしか使えないプロダクトになっているものが多いですが、いずれは世界的に浸透するプロダクトも作っていけたらと思っています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
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