医療専門職がJMDCで活かせる強みと可能性とは

JMDCでは医療系資格を保有する社員が多数在籍しており、医療ビッグデータを活用しながら、様々なビジネスを展開しています。今回は、看護師・保健師・東京糖尿病療養指導士の資格を持ち、病院・行政・健康保険組合に勤めた後、大学院生として公衆衛生を学びながらJMDCに入社した、浦元さんに話を伺いました。

 

<プロフィール>
浦元 広美(うらもと ひろみ) 株式会社JMDC データヘルス研究所 医療職専任コンサルタント
旭川医科大学医学部看護学科卒業。看護師としての臨床経験を経て、都内区役所や健康保険組合にて地域保健から産業保健まで幅広い経験を積み、10年以上保健師として勤務。健康保険組合では、母体企業とのコラボヘルスを主軸としたデータヘルス計画に基づく事業推進の中心的な役割を担う。その後、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 専門職学位課程に進学し、MPHを取得。大学院進学と共に、2020年にJMDCでの業務を開始し、2021年に入社。厚生労働省の大規模実証事業の研究支援や共同事業の補助金事業、健康経営やデータヘルスのサポートを行うコンサルティング業務を担う。

 

JMDCの医療ビッグデータを活用して、より多くの方に価値を届けたい

——浦元さんとJMDCの出会いについて、教えてください。

健康保険組合で働いていたときに、JMDCの顧客として「らくらく健助やデータヘルス計画のための分析レポート、受診勧奨通知等を利用していました。データヘルス計画のための分析レポートでは、ある年代でメンタル系の受療率が伸びていることなど、様々な課題が見えてきて、興味深く感じました。また、当時JMDCの営業担当だった方が、私たちと一緒になって、「加入者に対して何ができるのか」を考えてくれたのも印象的でした。

そこから「さらにデータ分析の勉強がしたい」と思うようになり、大学院に進学。「医療ビッグデータを活用した素晴らしいサービスを持ち、顧客に寄り添ってくれる社員もいるJMDCで働くことができれば、得られるものが多くあるだろうし、1つの健康保険組合だけでなく、より多くの方々に価値を届けられるのではないか」と考え、入社を決意しました。

 

▼浦元さんの経歴について詳細に書いた記事もございますので、ぜひご覧ください。

stories.jmdc.co.jp

 

——JMDCに入社された後の業務内容と、現在の役割について教えてください。

健康保険組合には、2024年からスタートする「第3期データヘルス計画」に関する支援を、また企業には健康経営に関するコンサルティングを行っています。加えて、健康保険組合に対して厚労省が推進する共同事業を2つ支援しています。過去には、厚労省の大規模実証事業に関する研究支援や、JMDCが保有する糖尿病性腎症の重症化予防プログラム「Pep Up.compass」における糖尿病患者さんの指導も行いました。

 

——それぞれのプロジェクトについて詳しく教えてください。

1. データヘルスと健康経営

JMDCには「データヘルス研究所」というデータヘルスや健康経営に関する業務を行う部署があるのですが、私はそこのコンサルティング業務を行うチームの立ち上げから携わり、コンサルタントとして活動しています。

データヘルスとは、健診やレセプトデータの分析結果に基づき、加入者の健康状態に即した、より効果的・効率的な保健事業を行うことです。多くの健康保険組合では、国の方針を踏まえて、「第3期データヘルス計画」の立案のために、どう課題の抽出をし、事業の優先順位を決めるか、また過去の計画をどう評価していけばいいのか、と課題を抱えています。その課題に対して、JMDCの保有する医療ビッグデータを活用して、他健保と相対的に比較しながら、自健保の課題抽出や目標値を定めたり、具体的な取り組みを検討したりする支援をしています。健康保険組合で働いていた頃から、健保と事業主との連携には非常に力を入れていましたし、データヘルス計画も立案していたため、そのときに培った経験が活かされていると思います。

 

2. 厚労省の共同事業支援

厚労省の補助金を活用して、複数の健康保険組合と一緒に2つのコンソーシアムを立ち上げ、それぞれ異なるテーマで事業を推進しています。 

1つ目は、7つの健康保険組合と共同で行なっている「女性の健康」をテーマにした取り組みです。最初は女性の喫煙に着目し、専門家を招いて「どうすれば禁煙してもらえるのか」をみんなで学び、「美容に影響があることを伝えれば、禁煙につながるのではないか」という気づきが得られたため、美容をキーワードにして禁煙を啓発するチラシを作成しました。「健康保険組合同士でつながる機会は貴重であり、とても有り難かった」と好評をいただいたので、翌年以降もテーマを変えながら継続しています。

2つ目は、6つの健康保険組合と共同で行なっている「店舗勤務者の喫煙対策」をテーマにした取り組みです。スーパーマーケットなど店舗勤務する方たちの喫煙率は高く、対策が難しいという課題があり、複数の健康保険組合で集まって、その背景にある課題を検討するために共同でアンケートを実施したり、禁煙事業の事例発表をし、店舗共通の課題について情報共有をしたり、ポスターを制作しました。また店舗勤務者においては、加熱式タバコの利用や、サードハンド・スモーク(三次喫煙)の問題が業務に影響を与えることもあり、専門の先生をお呼びして最新情報を教えていただいたりもしました。

共同事業で得られた知見は、各健康保険組合が持ち帰り、自組合に還元していただきます。1つの健康保険組合が行った取り組みが、他の健康保険組合に波及するのを目の当たりにして、JMDCに入社する前に思い描いていた「より多くの方々に価値を届けたい」という想いを実現できていると感じています。

<コンソーシアムで制作した資材>

 

3. 厚労省の大規模実証事業の支援 

厚労省では「予防・健康づくりに関する大規模実証事業」を行っています。その研究の支援をしたのが本件です。

ある健康保険組合のコンサルティングの中で、痩せている女性が多いという課題が見つかりました。そこで、痩せている女性に対するプレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うこと)について、研究者に話を聞くためにコンタクトして情報交換している中で、JMDCのビッグデータや調査フィールドを活かして研究を支援をすることにつながりました。私も大学院で研究の経験があったため、「どうやって研究を進めていくのか」を研究者の先生が決めるために必要な情報を的確にお伝えできたと思います。

 

4. 糖尿病患者指導 

糖尿病性腎症の重症化予防プログラム「Pep Up.compass」では、糖尿病患者さんに対する指導も行っています。私は東京糖尿病療養指導士の資格も持っていることから、患者さんの指導を担当させてもらいました。糖尿病治療には多額の医療費がかかりますし、働きながら透析を受けるのは患者さんにとってもかなり負担が大きいものの、治療を続けていてもコントロールできずに透析に至るケースを健康保険組合で見てきたので、重症化予防の大切さを感じていました。

実際に私が担当した患者さんは、指導を通じて様々な気づきを得ていただけて、自己注射しているインスリンの減量に成功しました。さらにもう少し良くなればインスリンの投与をなくすこともできそうなレベルまで成果が出て、とても嬉しかったです。「Pep Up.compass」のサービス化、そしてそれを採用してくれた健康保険組合があったからこそ実現できたことですし、こうした仕組みの中で自分が果たすべき役割を見つめ直すことができました。

 

<「Pep Up.compass」のサービス画面>

 

事業会社に転身したことで見つかった自分の新たな可能性

——仕事をする上で、これまでのご経歴が活きている強みはありますか。 

私はスケジュール管理やタスク管理が得意で、上司からも評価いただいています。このスキルは看護師時代に培われたものだと思っています。病棟看護師をしていたとき、当日担当する複数の患者さんを把握し、朝一番にスケジュールを立てなければなりませんでした。患者さんごとに治療や検査、服薬のタイミングなどが異なるため、「この時間に、誰に、何をする」というのを決める必要があるんですね。

もちろん緊急事態が起こればそのスケジュールは崩れるため、適宜修正しながら臨機応変に動かなければいけませんでした。加えて、自分が担当する患者さんについては、短期的・長期的な目標を立てて、退院後までの計画を立てるため、こうした経験からスケジュール管理やタスク管理のスキルが身についたのだと思います。

また、プライベートでは子どもが2人いるので、時間の制約がある中で働くために、優先順位を決めて効率よく動く力もプラスされて、自分の強みがどんどん磨かれている気がしますね。

 

——浦元さんのキャリアにおいて、JMDCが初の事業会社とのことですが、事業会社と医療専門職ではどのような違いがありましたか。

一番違いを感じたのは、スピード感ですね。1日単位でみると看護師のほうがスピード感を求められますが、事業会社では社会情勢を踏まえた先のゴールに向かって、様々な物事をスピーディーに進める必要があります。また、これまでの自分のやり方や経験にこだわりすぎてしまうと、対応できないとも感じました。

JMDCでは決められたことをこなすだけではなく、必要だと思うことを自分で見つけて能動的に動くことが求められます。そのようなときに、事業部や会社全体を俯瞰的に見ながら、自分が何をするべきか考えることも大切ですし、それができるようになれば、幅広く仕事を任せてもらえます。

JMDCに入社する前には、「私にコンサルティングや提案営業はできない」と自分で思い込んでいました。しかし、営業の方に同行したり、コンサルティングの場に同席するうちに、色々な学びを得ながら抵抗感が少しずつなくなりました。挑戦する場を用意してもらったので、「意外と私にもできるかもな」と前向きに考えられるようになりましたね。

 

医療専門職の経験を活かしながら新たな挑戦をされたい方へ

——JMDCで働く上で、医療系資格を保有するからこそ活かせる強みはありますか。

あると思います。例えば、私とおおよそ同時期に入社した理学療法士の方は、病院で働いた経験を活かし「Pep Up.compass」の企画をしています。また、医療専門職の経験がある方は、疾患に対する理解も深いため、健康保険組合に提案する説得力が増すと思います。他にも、一緒にコンサルタントとして働いている薬剤師の方は、薬剤に関する知識が豊富で薬剤に関するデータ分析を行いながら、活躍されています。

 

——最後に、今後、浦元さんがJMDCで挑戦されたいことを教えてください。

本格的にコンサルティングに携わるようになり、私がこれまで経験してきたことやデータ分析で得られた知見を、自分の中に溜め込むのではなく、健康保険組合や企業に対して提供することを強く意識するようになりました。今後、JMDCで多くの医療系資格保有者の方と一緒に働きたいと思っているので、私自身の経験も活かしながら、今後入社する方のスキルとシナジーを起こせる働きかけをしていきたいと考えています。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
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