グループ全体のアセットとケイパビリティを最大化するPMI室の仕事とは

JMDCには、M&Aによって新たな会社をグループ内に迎える際に、仲間となる会社の支援やJMDCとの橋渡し役を担うPMI室という部署があります。今回は、そのPMI室で活躍する岩井さんにこれまでのキャリアやPMI室の業務について、話を伺いました。

 

<プロフィール>
岩井 浩一(いわい ひろかず)株式会社JMDC PMI室
大学卒業後、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社に入社し、顧客サービス部門に従事。株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)で事業責任者等を務めた後、株式会社エス・エム・エスにて複数の事業責任者を経験。2022年JMDCに参画。PMI室に所属し、株式会社アイシーエムの代表取締役社長およびメディカルデータベース株式会社の取締役COOを務める。

 

「キャリア・教育」と「医療」をライフワークとして積み重ねてきたキャリア

— 岩井さんのこれまでのご経歴について教えてください。

大学卒業後は、新卒でエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下NTT Com)NTT Comに入社しました。生活者の暮らしにダイレクトに繋がり、生活を良くすることができるようなインフラを担うビジネスに携わりたいと思ったことが理由です。

NTT Comでは一貫して顧客サービス部門に所属しながら、セールス・マーケティングの仕事も兼務したり、新商材に関わるタスクフォースに参加したりと、様々なチャレンジをさせてもらいました。ただ、自分の将来を考えたときに、どんな場所でも活躍できる人材になりたいという思いが強かったことと、正解のない、究極の無形サービスとも言えるキャリアアドバイザーという仕事に挑戦してみたくなったこともあり、NTT Comを退職して、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に転職しました。

インテリジェンスでは法人営業(リクルーティングアドバイザー)や個人営業(キャリアアドバイザー)、マネジメントなどを経験した後、震災で職を失った方の就業支援や、未就職者の方向けのトレーニングプログラムの提供といった公共政策に関わる部署に異動しました。そうしたなかで、学生のキャリアを支援する新卒ビジネスを立ち上げたいという会社の意向を受けて、新規事業責任者を務めることになりました。

新規事業を進めるプロセスの中で、「はたらくとまなぶをつなぐ」をコンセプトにした、ベネッセ i-キャリアという合弁会社をベネッセ社と立ち上げたり、そこで事業部長や経営企画・人事など様々な経験を積んだことが、現在にも繋がっていると思います。

その後、縁があってエス・エム・エスに転職し、医療ヘルスケア領域に足を踏み入れました。

 

— 医療ヘルスケア領域にはもともと興味があったのでしょうか。

実は、幼少期に重い病気を患っていて長期の入院生活も経験するなど、医療従事者の方々に大変お世話になり、それが原体験となっていつか医療業界に恩返しがしたいと若い頃から思っていました。

学生生活とその後の社会人生活を送る中で、その時々で色々な分野への興味が芽生えてキャリアを楽しんでいましたが、家族が大きな病気をしたこともきっかけとなり、再び医療分野に携わりたいという思いが強くなりました。

そういった中で、縁あってエス・エム・エスに出会い、医療ヘルスケア領域に携わるようになりました。様々な事業や領域の責任者を任せてもらい、すばらしい機会となりました。

 

— JMDCへの入社理由を教えてください。

自分自身、年を重ねる中で、未来の医療やヘルスケアの持続性といった点に貢献していきたいと考えていたときに出会ったのがJMDCです。JMDCは医療・ヘルスケアデータの民間の第一プレイヤーとして、医療DX、データの利活用を推進しており、これからの日本の医療にとってとても意義のあることだと感じました。

加えて、PMI室で支援しているグループ各社を見ると、臨床現場や医療従事者が働いている現場を支援するサービスを展開している会社もあり、自分がこれからの人生でやっていきたいことと近いのではという気持ちもありました。

また、入社を決めるまでにたくさんの方と話をして、「理」と「情」のバランスがある、おもしろくて魅力的な方が多く、このような場所で一緒に会社づくりをしていけたら幸せだろうと思えたことも、入社を決めた理由の1つです。JMDCのコーポレートサイトに掲載されている経営陣の紹介を見ると、経歴も写真も堅そうな印象を受けると思いますが(笑)、実際に話をしてみると、シャープだけど非常に人間味のある方が多く、良い意味でギャップを感じました。

 

カメレオンのように自分の立ち位置を変化させながら、経営を推し進める

— 現在はどのようなお仕事をされているのでしょうか。

JMDCで所属しているPMI室の仕事のほかに、医療機関支援領域のグループ会社2社に携わっています。1つはアイシーエム社で、代表取締役社長を務めています。もう1社はメディカルデータベース社で、こちらは取締役COOとして参画しています。

アイシーエムとメディカルデータベースは、どちらも病院における薬物治療・薬剤業務を支援するアプリケーションを提供しています。病院薬剤師が日頃の業務を行う上でのDX支援と言うとわかりやすいでしょうか。

 

— それぞれの会社についてもう少し詳しく教えてください。

メディカルデータベースは、その名の通り元々は医薬品データベースを作っていた会社であり、医薬品データベースの領域では一目置かれてきた会社です。現在このデータベース事業は同グループのデータインデックス社に移管し、アプリケーションの開発に集中して市場を拡大しており、全国で400以上の病院にシステムを導入いただいています。取締役COOとして、メディカルデータベースでは全部門のオペレーションを担当しており、経営全般を任されています。

一方アイシーエムは、メディカルデータベースと比較すると規模は小さいものの、特に中大規模のお客様にフィットしたアプリケーションを提供して継続利用いただいており、約25年の歴史の中で独自のポジションを築いてきました。未来に向けた会社の発展のために2021年にJMDCグループ入りし、私は2023年6月に代表取締役社長に就任しました。

同じ分野でビジネスを展開する2社ですが、カルチャーや歴史は当然異なります。私は創業社長や創業メンバーではないので、創業者へのリスペクトを持ってそれぞれの会社のいいところや未来のあり方を見つめながら、カメレオンのように自分の関与の仕方を変えて、良き理解者として会社を導けるように心がけています。

 

グループ経営戦略の結節点となるPMI室

— JMDCのPMI室での仕事についても教えてください。

私は、PMI室では医療機関支援セクターと健康保険組合支援および健康経営セクターの2つの領域を担当し、グループ会社の各種支援を行っています。

ちなみに、健保・健康経営セクターではJMDC本体にある保険者支援事業本部の支援もしています。グループ経営戦略室のようなイメージで捉えていただくとわかりやすいかもしれません。グループ会社とJMDC本体の事業部を分けて考えるのではなく、その事業領域を会社という垣根なく経営をしていこうという流れが加速していて、個人的にもやりがいを感じています。

 

— PMI室の役割についてはどのようにお考えでしょうか。

業界内でのプレゼンスを高めるために、グループ全体のアセットとケイパビリティを結集して力を最大化していくことがグループ経営にとって重要になっています。そのようなときに、個社単位で数字を管理するだけではなく、グループ全体を見てどの会社のどのパワーをどのように活用するべきかを考え、シナジーを生む結節点となることのできるPMI室の果たす役割は大きいと感じています。

常にグループ会社のマネジメントや現場の方々とコミュニケーションを取っているPMI室の存在によって、新たなビジネスの種や業界団体等とのつながり、グループ会社間に共通の重要クライアントの情報などを把握し、つなぎ合わせることができていると自負しています。

私が担当している医療機関支援カテゴリーでは、グループ会社の1社1社は50~100名規模ですが、個別の会社というよりは、同じ会社のなかの1つの部署と考えたほうがいいよねという話をよくしています。それくらいの一体感でやっていこうということですね。口で言うのは簡単ですが、実際にそこまでやりきるのは並大抵のことではありません。各社の創業の思いや理念を尊重しながら、一つひとつの会社が同じ会社の1つの部署であるかのように連携するために、PMI室が先導していければと思っています。

 

チャレンジングな環境と多様なタレントがPMI室の魅力

— 岩井さんにとってPMI室で働くおもしろさはどのようなところにありますか。

まずはシンプルに、多様な人材がいる点ではないでしょうか。みんなそれぞれに何かしらのプロフェッショナルであり、かつ同質性が低い。PMI室はそのような方たちが同じ目的のために集まっている精鋭部隊のため、話しているだけでおもしろいと思える方がたくさんいます。その事自体が普通の会社のイチ部署ではなかなか経験できない稀有な環境だと感じています。

 

▲PMI室に所属するメンバーの経歴(一例)

 

私自身は、事業側で営業や事業責任者をやってきたバリバリの現場人間です。複数セクターや多くの事業領域の経験があるわけではないですし、経験や知識に特徴があると思っています。そのような人間が、ある種現場から遠いけれども、同時に現場に近づいていく部分もある、中間的なポジションのPMI室という立場にいて、自分の知識や経験を抽象化したり標準化したりしながら別の部署や別の会社に共有していく。その結果として、自分ひとりでは到底なし得ないような力になって社会にインパクトを残すことができることは、素敵なことだと思います。

もう1つは、関わるグループ会社の多様性です。JMDCは世の中を良くするための仲間を集めることに長けた会社だと思っていて、本当に魅力的な会社、創業者の方々と出会うことができます。強力なタレントや刺激的な機会に溢れた環境を楽しめる方にはもってこいの場所だと思います。

また、それぞれの会社に全く異なる歴史や企業文化があるなかで、自分が管掌しなければ光が当たらなかった良い部分やポテンシャルを引き出すことができたり、いままで手が回っていなかった部分の改善ができる点にもやりがいを感じています。とあるグループ会社の社員の方に「岩井さんが来てくれて、このようなところにも光が当たるようになりました。ありがとうございます」と言っていただいたときは嬉しかったですね。もちろんM&A以前からその会社で働かれてきた方にとっては時に痛みを伴う変化もありますが、それはより幸せな会社や社員の未来をつくるために必要なことだと考えています。四半世紀以上の歴史がある会社でも、違う視点が入ることでまだまだ新しい扉が開く可能性があるんだなと実感する日々です。

 

▲JMDCグループの一覧

 

— ありがとうございます。最後に、若手経営チャレンジ人材向けにPMI室の魅力を教えてください。

若手経営チャレンジ人材の方の場合、今後のキャリアパスについて決めている方もいれば、まだ決めないでおこうと考える方、迷っている方など様々だと思いますが、JMDCのPMI室はそのような方々のほとんどの選択肢に対応できるのではないでしょうか。

例えば、コンサルティングファームで活躍されていて、今後事業会社で経営をやりたいという方であれば、PMI室でこれまでの経験や知見を活かしながら事業会社のビジネスや経営を学ぶことができます。事業会社で事業リーダーを務めていた方であれば、1つの会社だけで経験していた事業運営の手法がほかでも通用するのか、幅が狭いのではないかと迷われることもあると思いますが、そのような方々にも大小様々な機会が待っています。また、M&Aやグループ経営の真髄をバックオフィス的に極めたいという方にも、経験を積み活躍できる場が多くあります。

さらに、PMI室はグループ会社の事業や経営を支援するという部署の性質上、JMDC社内においても経営陣との距離がものすごく近く、各責任者のブレーンとして動くことも求められるため、そのような刺激的な経験を若いうちからできるというのも面白さだと思います。

自立心や向学心と一定の経験を備えていて、きちんと意志を表明する方には惜しみなくチャンスを与えてくれる環境だと私自身実感しているため、そのような場を求めている方々にはぜひ仲間になっていただきたいです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
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