コアとなる事業基盤を中心に、ヘルスケア業界の課題意識を持つグループアセットで実現できる事業の可能性

医療ビッグデータを活かした事業を幅広く展開しているJMDCには、魅力的な経歴や豊富な経験を持ったメンバーが所属しています。今回は、製薬会社向けのコンサルティングチームをリードするプリンシパルである加納さんにインタビューを実施。製薬会社へのコンサルティングの業務の他、グループ内外の企業との協業も牽引している加納さん。グループを拡大し、多様な事業のシナジーを生みながら、ヘルスケア業界全体の課題解決を目指すJMDCの現在地について詳しく伺いました。

<プロフィール>
加納 真(かのう まこと)株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 プリンシパル
大学院卒業後、IBM Researchで研究開発に従事した後、A.T. カーニーにて多様な業種を対象に戦略コンサルティングを担当。その後、PwCアドバイザリーに入社し、M&A戦略の立案、ビジネス・デューデリジェンス、PMI支援、新規事業戦略等々、多様なテーマのプロジェクトに携わる。2021年1月よりJMDCに参画し、製薬会社向けデータコンサルティングチームのリードと共に、グループ内外のパートナーと連携した新規事業の検討を推進中。

 

多様な事業者とともに、ヘルスケアの課題を解決

――まずは加納さんのこれまでのキャリアや現在のJMDCでのお立場について教えてください。

私はIBM基礎研究所でバイオインフォマティクスの研究者としてキャリアをスタートしました。その後社内コンサル的なロールに転じる中でコンサルタントにキャリアシフトし、いくつかの戦略コンサルファームを経て、昨年1月にJMDCに参画しました。

 

――JMDCグループは、現在どんな組織で、どういった事業に取り組んでいるのでしょうか?

JMDCのもともとの事業は、健康保険組合に分析サービスを提供する中でレセプトデータをお預かりし、匿名加工した上で製薬会社など二次利用向けに提供するいわゆるデータベンダーの位置づけでした。

現在は、その事業をコアに持ちつつ、データを活用した「課題解決」まで担うように進化してきたと思います。単にデータを提供するだけではなく、どう活用すると課題解決につながるかまで踏み込んだコンサルティングサービスや、ヘルスケア領域のさまざまなステークホルダーへの直接的な働きかけなど、サービス領域が多様な方向に広がってきています。

そういった流れの中で、グループの拡大も加速しており、現在は多くのヘルスケア企業がJMDCグループに加わっています。

 

――医療業界においてさまざまな企業をグループに迎え入れて、シナジーを創出されているのですね。その理念について教えていただけますか。

まず、JMDCは単なるデータ提供だけではなく、ヘルスケア業界の課題解決により直接的に貢献していきたい、という思いを持っています。JMDCだけでできることは限られますが、さまざまなサービスを持つパートナー企業やグループ企業とともに取り組むことで、実現できる変革の幅が大きく拡がります。それがお互いにとって、そして社会全体にとって価値あることですし、何よりワクワクするんですよね。

例えば、いま力を入れているのは、患者様が早い段階で適切な診断・治療を受けられるようにするためのアプローチです。というのも、希少疾患などにおいては、最初の診断の段階で、専門医に適切に紹介されないと適切な医療が始まらない。そこが適切に紹介され、継続的に治療を受けることで、重症化を防ぐことができます。そして、重症化せずに済むことで、患者様自身にとって良いのはもちろん、医療費も削減できる可能性があります。

まずはわれわれのデータを活用し、患者様の実態を明らかにしながら課題を特定しているところですが、今後具体的な解決策を実行するには、直接患者様を啓発したり、ドクターに適切に情報提供をしていく必要が出てきます。そこでJMDCグループの企業や、パートナー企業と協力することで、より直接的に支援していくことができるのではと期待しています。

例えば、グループ会社のflixyは、「メルプ」 AI受診相談という、患者の受診行動をサポートするアプリケーションを開発していますし、Antaaでは、若手医師や非専門医師がお互いに学び合うためのコミュニティを運営しています。

なのでグループ化は、JMDCの単なる組織拡大というより、「仲間づくり」の側面が強いんです。複雑なヘルスケア業界の課題解決という目標に賛同してくれる仲間を増やしていくイメージですね。グループに加わった経営陣からの紹介で、新たな企業のグループ化が決まっていくことも数多くあります。私は前職でM&A戦略のアドバイザーとしてさまざまなグループ化の形を見てきたので、この上下関係ではなく「共に仲間としてやっていく」という経営スタイルがいいなと思いますね。

 

――仲間としてやっていくスタイルの背景には、ヘルスケア業界ならではの特性もあるのでしょうか?

そうですね。ヘルスケア業界は、サービスが提供されるバリューチェーンと、受益者、お金を払う人といった関係が複雑に絡んでいる業界だと思うんです。そこへさらに法令の問題も絡んでくるので、課題解決には時間がかかるうえ、多様なステークホルダーに働きかけていかないと解決しないという難しさがあります。

そうした中で、一企業ができることは限られるので仲間が必要ですし時間もかかります。中長期的な目線で、お互いを尊重しながら取り組むことが重要なのだと思っています。同じ業界内で競争も当然ありますが、皆さんヘルスケア業界の課題意識を共通して持っているので、そこに対して一緒に取り組んでいこうという理念は生まれやすいのかもしれません。

 

社外のパートナー企業と「何ができるか?」模索する

――グループ以外の他社との協業・連携には、具体的にどういった取り組みがあるのでしょうか。

例えば日本気象協会様との共同事業として「Health Weather(ヘルスウェザー)」というサービスを展開しています。これは、気象データと医療ビッグデータを組み合わせて機械学習することで、ぜんそくや片頭痛などの気象によって発症する疾患のモデルを作り、天気予報と合わせて疾患のリスクを予測して提示するサービスです。「こういう気象条件になるので、疾患の悪化リスクがあります」といった形で、患者の行動変容を促すことができます。

他にも、薬局向けサービスを提供するパートナー会社と共に、薬局のレセプトデータを用いたデータサービス事業も展開しています。

社外のパートナー様との協業では、「そもそも一緒に何をやるのか」という方向性を多様な状況の中から模索できるのが難しくもあり、面白いところでもあります。

 

――グループ内でのコラボレーションとは異なる難しさがありそうですが、意識されていることはありますか?

実は、グループ企業内でのコラボレーションよりも信頼関係が鍵になると思っています。というのも、他者との協業では最初は「こんなことができるんじゃないか」という抽象的な議論から始まることが多く、それを具体的なサービスに落とし込む過程でさまざまなチャレンジが必要なんですね。諦めずに継続的に解決策を探していくためには、信頼関係の構築が大前提になってくると考えています。

 

――今後はどういった協業・連携を予定しているのでしょうか。

会社としての今のフェーズは、データベンダーからコンサルティング会社に転身しているところで、データを使ってどう価値を実現していくかまで提言しています。

これからは提言だけではなく、その価値の実現そのものを実行していくことを目指していきます。そうすることで直接的にこのヘルスケア業界の課題解決にもつながり、事業としてもより大きく成長していくと考えています。そして、そんな事業の進化をリードし貢献できるのは、非常にワクワクするなと思っています。

例えば、データを用いた営業・マーケティングの高度化・効率化を、ハンズオンスタイルで実行まで伴走することができれば、データの価値を今以上に具現化することができるのではと考えています。

▲ヘルスビッグデータ事業のポテンシャル(データ活用例)

 

 

「仲間を増やす」協業で創発的にシナジーが生まれる

――加納さんはその中で、どのような役割・業務を担当されているのでしょうか?

私の業務の全体像としては、データをどう活用して課題解決につなげるかという製薬会社向けのコンサルティングが業務の7~8割を占めています。残りの2~3割で、グループ内外と協力した新規事業開発を行っています。その中で、グループ会社の社外取締役や監査役としての役割をいただいて、連携の推進をリードしたり、社外の会社との交渉のフロントに立ったりしています。

 

――JMDCでグループ内外の企業と事業を開発する面白さは、どこにあると思われますか?

まず、グループに入っていただいた会社の社長さんで、リタイアされたり辞めたりされた方はほとんどいないんです。それどころか、社長さんからの紹介で新たな企業のグループ化が決まるなど、口コミで仲間が増えていくグループ経営というのはめずらしいですよね。

その中で、企業同士が徐々に化学反応を起こしながら、創発的にシナジーが生まれるのがJMDCの事業開発の面白いところだと思います。前職ではコンサルタントとしてもっとトップダウンでPMIを推進していく必要がありました。もちろん今も放置しておくだけでは何も生まれませんが、同じ熱い志を持つ仲間として密にコミュニケーションを取り合っていくことで、創発的にシナジーを実現していけるんだと実感しています。

 

――JMDCがそういった創発的なシナジーを生み出せる秘訣は何でしょうか。

2つあると思っています。ひとつは、経営陣の哲学。もう一つは、コアの事業が非常に競争力が高いことです。

経営陣の哲学は、先ほども言ったように理念を共有した「仲間」を増やしていくという考え方です。グループ内外のシナジー創出も「互いにとってメリットがある形で」と言われています。協業する会社同士がお互いにとって良いやり方を模索できる、そういった経営方針があるのはありがたいなと思います。

また、ヘルスケアデータという競争力のある基盤があるので、その基盤をどう活用するかという視点でアイデアが広がりやすいというのも間違いなくあると思います。

 

――その他にも、グループ内外との事業づくりにおける魅力はありますか?

繰り返しになってしまいますが、JMDCでは変に急ぎすぎずにゆっくり信頼関係を築きながら議論を進めることの重要性を感じています。これはプロジェクトで期間の決まっているコンサルティングファームではできなかったことだなと思います。最初のアイデアがうまくいかなかったとしても、時間を置くことでよいアイデアが浮かんでくることや、事業環境の変化とともに何か新しい展開が生まれることがあるんですね。

一例を申し上げると、あるグループ会社との連携推進の中で、当初掲げていた仮説を試してもうまくいかなかったんです。通常、そこで議論がトーンダウンして、コミュニケーションも減ってしまうような気がするのですが、週1時間、経営陣との面談を継続しました。内容はもう雑談でもなんでも、とにかくずっと続けてみたんですね。そうしたら雑談の中から、新たなアイデアが生まれて実際に複数の売り上げにつながるところまで実証が進んだんです。コミュニケーションを継続し、アイデアが熟成されたことでここまで実現できたんだと思います。

なので、中長期的な目線で、不急なことも継続してやっていくのは大事だと思っていて、それはコンサルティングファームではできなかったことでした。

コミュニケーションを継続していると、何かお互いの役に立てないかと自然に考えるようになるんですね。長いお付き合いの中で、強みや大事にしていることを理解したうえで、「仲間」として一緒に新しいことを作り上げた時の達成感は、一層大きいです。

 

JMDCの仲間づくりは続く、その中心に携わる

――今後の加納さんご自身の目標を教えてください。

私個人としては、新しい21世紀型の経営にマッチした組織のあり方を追求したいです。20世紀型の企業は、中央集権型、管理型でしたが、そういった経営には限界がきています。さまざまなアイデアが求められる21世紀型の産業においては、経営スタイルを変えていく必要があると思うんですね。

JMDCの今の創発的シナジーを大事にする経営スタイルは、今のこの時代の要請にフィットしているのではという予感を持っています。このスタイルを続けて、グループをさらに拡大していった時に、どのような進化をたどっていくのか、私自身も当事者として興味があります。そのために、ハイパフォーマンスかつ働きやすい組織作りに主体的に関わっていきたいと思っています。

 

――コンサルティングファームから、次のステップを目指している読者に向けて、メッセージをお願いします。

私自身、コンサルティングファームでも交渉のフロントに立ち、多様な領域の方々の議論をファシリテートしてきたので、その辺りの経験が現在も活きています。

一方で、コンサルティングファーム時代のような数か月のプロジェクトではなく、時間をかけて信頼関係を築きながら、「仲間」と議論を進めることに、今は面白さを感じています。

急成長する現業ビジネスの推進と、社内外の仲間と共に開拓する新規事業との両方を楽しめる環境にご興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひJMDCの門戸を叩いていただけると嬉しいです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
もし少しでも弊社にご興味をお持ちいただけましたら、こちらの採用ピッチ資料に詳しいことが記載してありますので、ぜひ一度ご覧ください。