強力なアセットx 大きな裁量で、成長ポテンシャルの塊の製薬本部の今とこれから

JMDCは、国内最大規模のヘルスビッグデータを保有し、ヘルスケア分野においてデータを活用した様々な取り組みを行っています。今回は、製薬本部をリードする加納さんに、JMDCで目指すデータ活用の未来についてお話を伺いました。

 

<プロフィール>
加納 真(かのう まこと)株式会社JMDC 執行役員兼製薬本部本部長
IBM Researchでバイオインフォマティクス等の研究開発に従事した後、A.T. カーニーにて製薬業界を中心に多様な業種の戦略コンサルティングを担当。その後、PwCアドバイザリーにて、M&A戦略の立案、ビジネス・デューデリジェンス、PMI支援等に携わる。2021年よりJMDCに参画し、製薬企業向けデータコンサルティングを推進。2023年より現職。

 

▼過去に加納さんを紹介した記事もございますので、ぜひこちらもご覧ください。

blog.jmdc.co.jp

 

データを用いた課題解決の圧倒的No.1パートナーへ

— まずは加納さんのJMDCご入社後のキャリアについてお伺いできますか

  • 2021年 コンサルティング事業立ち上げメンバー
  • 2022年 コンサルティング事業部長
  • 2023年 製薬領域管掌役員

と毎年プロモーションさせて頂き、その度に新たな役割にチャレンジし続けてきました。様々な仲間やご縁に恵まれてのことではありますが、このスピード感は急成長企業ならではの醍醐味だと思っています。

 

— 製薬本部のトップとして、今後実現したいことや取り組んでいきたい課題を教えてください

一番に実現したいのは、あらゆるデータを用いて製薬会社のあらゆる課題を解決する圧倒的No.1のパートナーになることです。そのために、大きく分けて3つのことに取り組みたいと考えています。まずは、JMDC単体の持つレセプト・電子カルテデータは勿論、グループ全体で保有する多種多様なデータ、そしてクライアントがお持ちのデータをフル活用頂けるようにすること。2つ目は、活用可能なデータの種類の拡大を切り拓くこと。そして3つ目は医師や患者等の行動変容につながるソリューションまで踏み込むことです。

そのためには、多種多様かつ多数の新規事業・サービス・プロジェクトを立ち上げ、形にしていく必要があります。そして、それらを推進できる多数のリーダーならびに候補生を採用し、機会を提供し続け、いち早く業界を牽引していくようなリーダーに育てて行く必要があります。マネジメントとしては、そのような人材育成・輩出していけるような組織・カルチャー作りを進めていかないといけません。

やれることだらけ、やりたいことだらけ、やらないといけないことだらけ、でも手が回りきらない。 本当に刺激的で嬉しい悲鳴です。

 

— 1つ目のデータをもっとフル活用頂けるようにするという点について、もう少し詳しくお伺いできますか

数年前のJMDCは、データをそのままご提供したり、クライアントにご指定頂いた集計を行うようなサービスが中心でした。しかし、クライアントは、必ずしも様々なデータの特性や、それぞれのデータで何ができるか、ということを熟知しているわけではありません。また、クライアントにとって、データは手段であって目的ではないという面もあります。クライアントの課題をデータを活用してどのように解決できるか、ソリューションをコンサルティング営業することで、データの活用ポテンシャルを拡げていけると考えています。

例えば、クライアントが、ある疾患の確定診断の早期化に課題を抱えていたものの、そのボトルネックに対して十分な仮説を持ち合わせていなかったとします。我々はそうしたクライアントの課題に対して、我々が持つデータをフル活用して、様々な患者のデータ上でのペイシェントジャーニーを精査して、課題仮説を特定するところからご支援します。初発症状から確定診断までどれくらいの期間を要しているのか、患者は初動でどんな診療科・施設にアクセスしがちなのか、それらの施設ではどんな検査が行われているのか・いないのか、どんな経過観察がなされてしまっているのか、適切な専門施設に紹介されているのか・いないのか等、データを活用できるからこそ、客観的かつ定量的に課題を特定することができます。

もちろん、データだけでは事実はわかっても、その背後にある患者や医師の思考や気持ちはわかりません。なので、インタビューやワークショップ等による定性的な調査・議論が重要になります。非常に興味深いのは、土台となるデータやファクトがあると、インタビューやワークショップが活発化すると共に、「データでわかること」への理解が深まり、それだったら、こういうこともデータで検証してみよう、と更なるデータ活用のニーズが拡がる、という相乗効果が生まれています

JMDCグループは多種多様なデータを保有していますが、それぞれが膨大な情報を含んでいる上、個別に様々な特性やリミテーションがあり、どのデータをどう使い分け、組み合わせると課題を解決できるか、というのは、容易ではありません。ましてやクライアントがそれを自分達で使いこなすのは至難の技だと思っています。だからこそ、クライアントがデータが活用できそうな課題を持っていたら、まずはJMDCに相談してみよう、と思っていただけるような圧倒的No.1のパートナーになりたいと思っているし、間違いなくなれるポジションにいると思っています。現状はJMDCグループのデータを使ったサービスが中心ですが、クライアントがお持ちのデータも掛け合わせると、さらに解決できる課題が大きく拡がると考えています。

日々データを使った課題解決が高速回転しているので、データでどんな課題が解けるかというナレッジも、整理が追い付かないくらい急速に蓄積しつつあります。 一方で、後ほど述べるようにデータポートフォリオがどんどん急拡大しているので、正直、我々自身もデータを使いこなしきれていないと感じている状況です。常に10-20個は新しいデータ活用のアイディアを追いかけている感じですね。しかもそれらが、机上の空論ではなくて、クライアントから伺った実際の課題を起点としたものばかりなので、非常に地に足がついた新規商材開発ができているな、と感じています。

 

— データの幅を広げるという2つ目の柱についてはどのような挑戦をされていますか

もともとJMDCはデータを集め、データベース化し、それを利活用する、というデータバリューチェーンを一貫して自社で扱っています。このため、実際に利用してくださるお客様の、このようなデータがあればもっとこんなことができるのにといったニーズに一番近いところにいて、ニーズに沿った新しいデータを実際に集めるというスパイラルを回すことができます。ですから、新しいデータのビジネスポテンシャルを掴み、他の事業本部やグループ会社、外部のパートナーと組み、取り扱うデータの幅をどんどん拡げていっています。

 

▲JMDCグループの一覧

たとえば、新しくグループインした会社のおかげで、レセプトだけでなく電子カルテデータも扱えるようになりましたし、ドクターの学会や論文の発表データも扱えるようになりました。

フリーテキストや画像データ、ゲノムデータなど、非定型なデータの扱いにも取り組んでいます。これらの構造化されていないデータは、扱いが難しく手間がかかりますが、患者さんや治療の実態を深く分析するうえではとても有用な情報になるため、リアルワールドデータを扱うJMDCがパイオニアとして挑まなければならないという矜恃を持っています。

例えば、ゲノムデータとレセプトデータを掛け合わせると、特定の疾患リスクの高い遺伝子変異を持っているにもかかわらず、疾患を発症していない患者というのを特定することができます。その患者の遺伝子変異をさらに詳しく見てみると、疾患発症を抑制するような因子の候補が見つかり、創薬ターゲットを見つけ出すことができるかもしれません。まだ、探索段階ですが、新しいデータを利用可能とすることで、今までにない画期的なソリューションを生みだすことも可能だと思っており、チャレンジを続けています。

 

▲2023年3月期 通期決算説明会資料より抜粋

 

データ活用の幅を広げ、ビジネスモデルの進化を図る

— ソリューション事業についても教えてください

これまでは主に患者さんの実態や課題を把握するためにデータが使われてきました。それ自体とても意義のあることではありますが、本当はその先も考えなければなりません。よりよい医療アクセスの実現に貢献するためには、医師や患者さんの行動変容を促すコミュニケーションや啓発活動が必要になります。ただし、そこへの道のりは長く、一足飛びにはいけません。高速で一歩一歩進んでいくしかないと思っています。これまでもコンサルティングサービスを立ち上げてきたり、プロダクトリニューアルを行ったり、グループ会社と協同サービス開発を進めてきました。そして、JMDCとしてコンサルティングに留まらず、実際の医師や患者へのコミュニケーションや、製薬の業務支援にまで踏み込みたいと考え、今年新たにマーケティングソリューション部を立ち上げました。

JMDCでは健康保険組合やその加入者、医療機関、自治体など様々なステークホルダに向けたサービスを提供しており、各ステークホルダーと接点があるため、他の事業部やグループ、パートナーと組むことで、それらのステークホルダーに色々なところから働きかけられるポテンシャルがあります。そうした強みを最大限に活かして価値を提供していきたいと考えています。例えば、疾患の早期診断・早期治療の啓発を、製薬会社・自治体・JMDCの三社の座組で推進するようなプロジェクトにもチャレンジしています。これはヘルスケアシステムのほぼあらゆるステークホルダーにサービス提供しているJMDCだからこそ提供できるようなサービスの一つだと思っています。

また、現在医師向けサービスを運営するアンターや健康保険組合の加入者向けのサービスであるPep Upをはじめとして、医師や患者さんと直接繋がることのできるサービスが急速に拡大しています。製薬会社向けの事業としてはまだまだこれからではあるのですが、適切な情報提供や行動変容に繋げるという意味においては、医師や患者さん、あるいは健常の方に直接アプローチできるプラットフォームが増えることで、JMDCグループだからこそ提供できるソリューションの幅は急速に拡大しています。

 

— そのほかに今後チャレンジされたいことはありますか

製薬会社は様々なオペレーションをアウトソーシングしていて、JMDCグループにもそういったオペレーションを担っている会社がいくつかあります。そのオペレーションに我々の持つデータを活用することで、劇的な効率化を実現したいと考えています。これまではデータを売ることがビジネスのベースでしたが、オペレーションそのものを受託して、データを活用することで効率的かつ効果的にサービスできるようになると、ビジネスモデルをもう一段進化させられると思いますし、実際そうした事例も生まれ始めています。また、オペレーションを支援する過程でまた新たなデータが得られる可能性も十分にあると考えています。

いずれにしても、やりたいこと・やれること・やらないといけないこと、膨大にあります。保有データで考えてもいろんなアイデアが出てくるし、次々増えていくグループ会社との掛け合わせ、様々なパートナーとの組み合わせ、クライアントのお持ちのデータとの掛け合わせ、などなど可能性は本当に無限大です。ざっと考えても100個位のアイデアはすぐに出てきます。それくらい、当社事業領域はポテンシャルがあり、またそれをやりうるポジションに現在の当社はいるのです。あと必要なものは、共に進めていく仲間、リーダー達だと思っています。

 

挑戦を加速させる組織づくり

— まだまだたくさん新しい挑戦の余地がありそうですが、それを実現するために製薬本部として目指す組織像について教えてください

当社はボトムアップカルチャーです。使えるアセットが膨大にある一方で、裁量もめちゃくちゃ大きい。この2つがこれだけ揃っている会社はそうそうないのでは、と思っています。その環境を最大限活かすために、一人一人の可能性を信じています。そして、その可能性が現実になるために、まず第一に楽しむ、ということです。楽しく一生懸命働いた結果、事業もメンバー一人ひとりも大きく成長しているというのが理想です。また、その成長を製薬本部に閉じずに、我々の部門からほかの部門やグループへとメンバーが旅立っていくような、人材輩出部門になれたらと思っています。

 

— そのために加納さんがリーダーとして意識されていることはありますか

会社としてのバリュー(行動指針)とは別に、製薬本部としてのバリューを設定しているのですが、毎月の全体会議で必ずそのバリューを伝えるということは続けています。5つのバリューを設定しているのですが、特に大切にしているのが「新しいことに挑戦しよう」と「みんなで助け合おう」の2つです。

新しいことへの挑戦については、失敗を恐れないということも強調しています。もちろん大怪我はしないようにしなければいけないけれど、かすり傷程度であれば失敗を気にしなくてよいし、むしろ2週間を振り返って一度も誰かに謝っていなかったとしたら、それは挑戦ができていないと考えようという話を繰り返し伝えてきました。謝らなくてよいということは、物事を何の問題もなく進めている、つまり慣れたことだけをやっているというようにも捉えられます。ですから、誰かに「すみません!」と謝りながら仕事をしている状態のほうが、一歩踏み出していると言えると思っています。当然ですが大怪我をしそうなときはその前にブレーキをかけるので、臆せずチャレンジしてほしいです。

また、挑戦をするということはいまやっていることに加えて新しいことに取り組むということのため、必然的に負荷は増えてしまいます。そうなると余裕のあるときはよいのですが、繁忙期などはきつくなってしまいます。人によって、またアカウントによって忙しい時期はずれるため、個で闘うのではなく、誰かが大変なときは担当アカウントに拘らずみんなで助け合おうということもセットで伝えており、チームに浸透してきていると感じています。

マネジメントの立場としては、メンバーがやりたいと言ったことに対して、それが良い提案であれば、実現に向けたサポートを迅速に行うことを意識しています。新しいことに挑戦したり、何かを変えたいと思ったときに、やろうと思ったらやれる組織なんだ、という成功体験を積むことができると、また次の提案をしようと考えてもらえるはずのため、自分ができる調整ごとなどはできる限り爆速で動くようにしています。

さらに、チームに戦略上の重要情報をできるかぎりタイムリーに共有しています。自律的に動いて頂く上で、みんなが必要な情報に触れられない環境では、正しい判断をすることが難しくなります。そのため、会社や自部門、他部門の状況、外部環境などはよほどのコンフィデンシャルなものを除いてできるかぎり共有しています。そうすることで、いま何をすべきかを各々が自律的に判断することができるようになると考えています。ただ、私がとんでもない量の情報を流すため、多すぎて読みきれないというお叱りもメンバーから受けており、Slackだけでなく定例会でも共有するなど、伝え方は模索中です。

製薬本部自身は1つのベンチャー会社のような組織運営をしています。アセットと裁量と情報をふんだんに与えているので、力のある方は、すぐに部門の戦略にも影響力を発揮できる環境だと思います

 

— バリューが浸透しているなと思われたエピソードなどはありますか

若手も含めて価値観は浸透し始めていると感じています。製薬本部には昨年入社してくれた現在2年目の新卒社員が3名いるのですが、その3名は同期間で話し合い、「私たちがこの部門のファーストペンギンになる」を合言葉にしてくれてます。リスクを恐れずに最初の挑戦者になろうということですね。また、これはファーストフォロワーと言ったほうが正確かもしれませんが、誰かが新しいアイデアを出したときに、最初に追随することで、組織全体にムーブメントを起こすような動きを積極的にやってくれています。

2年目でこういった動きができることは大変素晴らしいですし、同時に新卒メンバーがのびのびと挑戦できるように周りの先輩たちが指導したり、暖かく見守ったりしてくれているという面もあり、みんなでそういうチームを作り上げてくれてありがたいなと思っています。

 

— 組織づくりの観点で加納さんご自身がチャレンジされていることはありますか

うちの会長の松島は先日の全社会議で、「ロケット鉛筆型」の組織になれと言っていました。特定のロールでパフォームして安定してきたら、全員が一段ずつ次のステージにシフトしてストレッチなチャレンジをしていく。そうすることで組織全体が成長し、活性化していくというイメージです。そのためには、私自身も常に新しいチャレンジを続けていないといけないと思っていますし、また、短期的には組織が不安定になったとしても、新しいロールに抜擢するアサインを積極的にやっていかないと行けないと思っています。言うは易しで、それを実行するには強い意思と行動力が求められますし、不安定な状況に対するタイムリーなケアも求められます。ただ、これをできる限り短いサイクルで回していけると、事業としても個々人としても大きく成長できると思っていますし、それが実現できる事業機会と仲間が溢れていると手ごたえを感じています

 

— 今後さらに成長を加速させるために、どのような方にジョインしてもらいたいですか

製薬本部に限らず、JMDCにはすでに使い切れていないほど豊富なアセットがあり、さらにその先に様々な事業機会のポテンシャルが存在する状況のため、自律的に考え素早く行動に移し、その結果からどんどん学んでいける人には非常に面白い環境だと思います。

加えて、我々のデータや取り組みが、すべての人に適切な医療をお届けすることにつながる、非常に重要な仕事なので、よりよいヘルスケアシステムをつくることに情熱を持っている方に仲間になってほしいと思っています。また、既存の取組み等には囚われず、思い切って新しいことを提案してくださる方も大歓迎です。JMDCに新しい風を吹き込んで活躍していただきたいです。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
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